※2026年10月時点の情報です。
結論:遺品整理業者は「許可」「見積書」「契約条件」を書面で比べる
遺品整理のサービスには、業界を直接規制する法律(業法)がありません。総務省行政評価局の報告書(2020年3月)は、遺品整理サービスを法令上定義しているものも見当たらず、いわゆる「業法」のようなものもないとしています。業者の良し悪しは、依頼する側が確かめる必要があります。
目安になる数字は次の3つです。
- 年90〜114件:国民生活センターのPIO-NETに登録された遺品整理サービスの相談件数(2014〜2017年度)。2018年7月の公表資料によります。
- 2,231件:遺品整理と同じく家庭のごみを業者に回収してもらう「不用品回収サービス」の相談件数(2021年度)。2018年度の1,354件から増えています(国民生活センター、2022年11月公表)。
- 69事業者中43事業者:総務省の調査で、依頼者と契約書を取り交わしていた遺品整理事業者の数です。
そのため、ごみを運ぶ許可、見積書の内訳、追加料金とキャンセル料の条件の3点を、書面で確かめておくと安心です。国民生活センターは、複数社から見積もりを取り、事業者を慎重に選ぶよう呼びかけています。
この記事の目次
業者を比べるときは、何を確かめればいい?(チェック表)
この章のポイント
- 見積もりを取った業者ごとに、11項目を○×で比べる
- 許可(1・2)は、資格とは別に確かめる
- 口頭の約束は、見積書か契約書に書いてもらう
見積もりを取った業者ごとに、各項目の記入欄に○か×を付けて使ってください。印刷して、きょうだいで相談するときの共有資料にもできます。
1. ごみを運ぶ許可
実家のある市町村の「一般廃棄物収集運搬業」の許可(または市町村の委託)があるか。ない場合、ごみの収集運搬をどの許可業者が担当するか
- 確かめ方:許可番号・許可した市町村名・担当する許可業者の名前を聞き、市町村のホームページや窓口で照合する
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
2. 買取りの許可
買取りをする場合、「古物商」の許可を持っているか
- 確かめ方:許可証番号と、許可した公安委員会の名前を聞く
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
3. 訪問見積もり
部屋を見たうえで見積もりをしてくれるか
- 確かめ方:電話や写真だけで金額を確定しない
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
4. 見積書の内訳
作業内容・人数・車両の台数・処分費が分けて書かれているか
- 確かめ方:「一式」だけの見積書なら、内訳を求める
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
5. 追加料金の条件
追加料金が出る条件が、見積書か契約書に書かれているか
- 確かめ方:「追加料金は一切なし」と口頭で言われた場合も、書面にしてもらう
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
6. キャンセル料
キャンセル料の規定(いつから・何%か)が書かれているか
- 確かめ方:日程変更の扱いもあわせて確かめる
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
7. 残す物・探す物
残す物・探してほしい物(通帳、印鑑、写真、書類など)の扱いを決めたか
- 確かめ方:見つかったときの連絡方法と保管方法を決める
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
8. 買取額の書き方
買取りがある場合、買取額が処分費と分けて書かれているか
- 確かめ方:「相殺して◯万円」だけにしない
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
9. 家電4品目
エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)の処分方法を説明できるか
- 確かめ方:家電リサイクル法の仕組みに沿った処分か、リサイクル料金の扱いを聞く
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
10. 契約書と支払い
契約書を交わすか。支払いの時期と方法が書かれているか
- 確かめ方:作業前の全額前払いを求められたら、理由を聞く
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
11. 契約を急かさないか
「今日決めてもらったら安くなる」などと、契約を急かさないか
- 確かめ方:急かされたらその場で決めず、家族と相談する
- 記入欄:A社 □ B社 □ C社 □
メモ欄(立ち会える日・連絡の窓口になる人・残す物のリストなど):____________________
チェック表の根拠
1は廃棄物処理法、2は古物営業法、9は家電リサイクル法にもとづく確認です(次の章で説明します)。3〜8と10・11は、国民生活センターなどが公表している相談事例とアドバイスを参考にしています。
遺品整理業者には、どんな許可が必要?
この章のポイント
- 家庭のごみを運ぶには、原則として市町村の許可か委託が要る
- 買取りには、都道府県公安委員会の古物商の許可が要る
- 遺品整理士は民間資格で、国家資格や許可ではない
遺品整理の仕事のうち、法律で許可が求められているのは、主にごみを運ぶことと、遺品の買取りです。
一般廃棄物収集運搬業の許可
家庭から出たごみを、業として集めて運ぶのに必要
- 根拠:廃棄物処理法 第7条第1項
- 出すところ:業を行う区域を管轄する市町村長
- 確かめ方:許可番号と市町村名を聞き、市町村のホームページや窓口で照合
古物商の許可
遺品(古物)を買い取る・売るのに必要
- 根拠:古物営業法 第3条
- 出すところ:都道府県公安委員会
- 確かめ方:許可証番号を聞く。ホームページで取引する古物商は、公安委員会のホームページに許可証番号などが載る
遺品整理士
民間資格(法律上の許可ではない)
- 認定するところ:一般財団法人遺品整理士認定協会
- 位置づけ:国土交通政策研究所の報告書では「民間資格」。法制度上の位置付けはない
- 確かめ方:認定の有無を聞く。上の2つの許可の代わりにはならない
家庭のごみを運ぶには、原則として「一般廃棄物収集運搬業」の許可か、市町村の委託が要る
遺品整理で出るごみは、一般家庭から出る廃棄物です。国民生活センターは、一般家庭から出る廃棄物の収集・運搬には、廃棄物処理法に基づく「一般廃棄物処理業の許可」または「市区町村からの委託」が必要だとしています(2022年11月)。総務省の報告書も、一般家庭から出た廃棄物の運搬には市町村の許可が必要(廃棄物処理法第7条第1項)と整理しています。
なお、廃棄物処理法には例外もあり、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物だけを運ぶ人や、市町村から再生利用の指定を受けた人など、法律や環境省令で定める人は許可が要りません(第7条第1項ただし書、同法施行規則第2条)。
気をつけたいのは、次の3点です。
1. 許可は、ごみを集める市町村が出す
廃棄物処理法第7条第1項は、一般廃棄物の収集・運搬を業として行う人は、業を行おうとする区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならないと定めています。業者の本社がある市の許可を持っていても、実家のある市町村の許可があるとは限りません。
2. 「産業廃棄物」の許可では、家庭のごみは運べない
国民生活センターは、不用品回収サービスについて「産業廃棄物処理業の許可のみの事業者等、一般廃棄物処理業の無許可業者とのトラブルが目立ちます」としています(2022年11月)。インターネットやチラシで大きく広告を出している事業者でも、一般廃棄物処理業の許可業者とは限らないとも注意しています。「廃棄物の許可を持っています」と言われたら、一般廃棄物か産業廃棄物かを確かめてください。
3. 許可がない業者は、ごみをどう扱っているか
総務省の調査で、一般廃棄物収集運搬業の許可を取っていないと答えた35事業者は、次のように扱っていました。
- 18事業者:ほかの許可事業者に処理を頼む(要旨は、料金が割高になりやすいとしています)
- 3事業者:ごみの処理は依頼者が行う
- 14事業者:遺品を自社の倉庫などに持ち帰り、自社から出た廃棄物として、取引のある許可事業者に処理を頼む
環境省 廃棄物適正処理推進課の資料は、この総務省の報告書に、許可を取っていない事業者が「遺品をまとめて自社倉庫等に持ち帰り、倉庫等で再度、選別後、自社から排出された廃棄物として処理する」、「依頼者に代わって一般廃棄物処理施設まで運び込む」など、廃棄物処理法に違反する疑いのある行為が記載されているとしています。そのうえで都道府県や市町村に、問い合わせがあれば既存の一般廃棄物処理業者を紹介するなどして、適正に処理されるよう求めています。
許可のない業者に頼むときは
「ごみの収集運搬を、どの許可業者が担当するのか」を聞き、その業者の名前を見積書に書いてもらいましょう。市町村の許可業者の一覧と照らし合わせられます。
家電について、環境省は2012年3月の発表で、家庭などから使用済み家電を集める不用品回収業者が増えているとし、「それらのほとんどは、一般廃棄物収集運搬業の許可、再生利用指定又は市町村の委託等を受けておらず」、廃棄物処理法に抵触するものと考えられるとしています。エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)は、国民生活センターも、販売店などを通じた家電リサイクルの仕組みで処分するよう案内しています。
古物商の許可は「買取り」をするときに必要
古物営業法第3条は、古物の売買などの営業をしようとする人は、都道府県公安委員会の許可を受けなければならないと定めています。遺品を買い取ってもらうなら、業者が古物商の許可を持っているかを確かめます。
大阪府警察の案内によると、2020年4月1日施行の改正で、主たる営業所を管轄する公安委員会の許可を受ければ、ほかの都道府県に営業所を設ける場合は届出で足りるようになりました。
ホームページを使って取引する古物商は、公安委員会のホームページに「氏名又は名称」「古物商が利用するURL」「古物商の許可証番号」が掲載されます(古物営業法第8条の2第1項。滋賀県公安委員会「古物商一覧」の説明による)。業者サイトの許可証番号と、公安委員会の一覧が一致しているかを見るのも確かめ方の一つです。
業者が自宅に来て物を買い取る「訪問購入」は、特定商取引法の対象です。法定の書面を受け取った日から数えて8日間はクーリング・オフ(契約の申込みの撤回など)ができ、その間は業者への品物の引渡しを拒めます(特定商取引法第58条の14・第58条の15)。大阪市の案内では、自動車・家庭用電気機械器具・家具・本・CD・DVD・有価証券などは対象外とされています。
古物商の許可は「買い取る」ための許可で、ごみを運ぶ許可ではありません。
遺品整理士は民間資格。国家資格や許可の代わりにはならない
「遺品整理士」は、一般財団法人遺品整理士認定協会が認定する資格です。国土交通政策研究所の「賃貸住宅等における残置物問題に関する検討会 報告書」(2021年6月)は、遺品整理士を協会が定めた「民間資格」とし、指定法人のような法制度上の位置付けを持つものではないとしています。民間資格で、国家資格ではありません。
協会のサイトによると、遺品整理士養成講座は2011年11月に開講し、遺品整理士になるには試験の合格が必要です。試験では、法令を順守した廃棄物処理の知識や、遺品を扱う心構えが問われるとしています。
法令や遺品の扱いを学んだスタッフがいる目安にはなります。ただし、ごみを運ぶ許可や買取りの許可の代わりにはなりません。チェック表の1と2は、資格とは別に確かめてください。
許可の要否や処分の方法で迷うときは、実家のある市町村の廃棄物担当の窓口に確認してください。契約や法律の最終的な判断は、弁護士などの専門家に相談してください。
実家のある市町村で、許可業者をどう調べる?
この章のポイント
- 家庭のごみの許可や受付の仕組みは、市町村ごとに違う
- 「一時多量ごみ」「引越しごみ」の案内に、許可業者の調べ方がある
- 一覧が事業ごみ向けのこともあるので、窓口で確かめる
一般廃棄物収集運搬業の許可は市町村長が出すため、許可業者の調べ方も市町村ごとに違います。引越しや遺品整理で一度に多く出るごみの扱いを、ホームページで案内している市もあります。今回確かめた市の例は次のとおりです。
横浜市
許可業者に頼むか、市の施設に自分で持ち込む
- 「一時多量ごみ(引っ越しや遺品整理など)」のページで、一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者への依頼と、自己搬入の方法を案内
- 業者に頼む場合は、市のページにある許可業者に依頼する。料金は業者に確認
- チラシやインターネット広告を見て無許可の業者に頼み、高額な料金を請求された事例もあると注意
出典:横浜市「一時多量ごみ(引っ越しや遺品整理など)」(2026年8月21日更新)
福岡市
遺品整理・引越しのごみに限った許可がある
- 2019年3月1日〜5月31日の公募で、遺品整理と引越しで出る家庭系ごみに限った一般廃棄物収集運搬業の許可業者を選んだ
- 対象は、許可業者が自ら請け負った遺品整理・引越しで出るごみ。定期収集や粗大ごみで出しにくいなど、やむを得ない場合に限る
- ほかの業者が請け負った遺品整理のごみは、市が収集区域を定めて許可している許可業者に頼む
出典:福岡市「遺品整理及び引越時に発生する家庭系ごみに限定した一般廃棄物収集運搬業許可について」(2026年6月9日更新)
札幌市
市の許可業者に頼むか、自分で持ち込む
- 2018年10月更新のページでは、引越しや遺品整理で一時的に多く出るごみ(400リットルを超える場合)は、市の許可業者(一般財団法人札幌市環境事業公社)に頼むか、市の施設に持ち込むよう案内
- 「無許可」の業者を利用しないよう注意
- ページの更新が2018年のため、現在の扱いは市に確認する
出典:札幌市「引越しや遺品の整理などで一時的に多量に出るごみの処理について」(2018年10月5日更新)
一覧を見るときは、対象のごみの種類にも気をつけます。たとえば京都市の「一般廃棄物収集運搬業許可業者<許可番号順>」(2026年10月16日更新)は、市のサイトの「事業系一般廃棄物」の分類に置かれています。家庭のごみを運べるかどうかは、一覧だけで判断せず、市の窓口で確かめてください。
調べる手順は、次のとおりです。
- 市のページを探す実家のある市町村名と「一時多量ごみ」「引越しごみ」「遺品整理 ごみ」などの言葉で、市町村のホームページを探します。
- 業者の許可を照合する見積もりを取った業者、または提携先の許可業者の名前と許可番号を、市の一覧と照らし合わせます。
- わからなければ窓口に聞く一覧が見つからない、家庭のごみが対象かわからないときは、市町村の清掃・廃棄物担当の窓口に問い合わせます。
見積もりはどう取り、何を比べればいい?
この章のポイント
- 部屋を見てもらい、見積書をもらってから比べる
- 追加料金は「どんな場合に、いくら」を先に決める
- キャンセル料は「いつから・何%か」を確かめる
訪問見積もりで確認すること
遺品の量や運び出しやすさは、部屋を見ないとわかりません。総務省の調査では、69事業者のうち63事業者が見積書を作っていました。電話や写真だけで金額を確定させず、部屋を見てもらったうえで見積書をもらうと、業者どうしを比べやすくなります。
訪問見積もりでは、次の点を業者と一緒に確認します。
- 作業の範囲:仕分けだけか、運び出し・処分・清掃までか。どの部屋が対象か
- 残す物の扱い:形見として残す物、探してほしい物(通帳、印鑑、権利証、写真など)をどう扱うか
- 運び出しの条件:階段やエレベーターの有無、トラックを止める場所
- 作業の体制:作業員の人数、車両の台数、作業日数
- 買取りの有無:買い取る物と金額、処分費とどう差し引くか
- 家電・仏壇などの扱い:家電リサイクル法の対象品や仏壇をどう処分するか(仏壇の処分方法は仏壇の処分方法と費用で解説しています)
見積もりの前に、家族で「残す物リスト」を作っておくと、当日の確認が短く済みます。
追加料金が出る条件を、先に書面で決める
国民生活センターが2018年に紹介した相談事例には、「作業時に予定外の料金を請求され、最終的に見積金額の2倍の費用を請求された」というものがあります。追加料金は、どんな場合に、いくら出るかを事前に決めておくことが大切です。
見積もりの段階で、次のように聞いておくと条件をはっきりさせやすくなります。
- 「見積もりより物の量が多かった場合、どう計算しますか」
- 「当日、追加の作業が必要になったら、作業の前に金額を伝えてもらえますか」
- 「見積書に書かれていない費用(リサイクル料金、清掃費、駐車料金など)はありますか」
答えは、見積書か契約書に書いてもらいます。
キャンセル料は「いつから・何%か」を確かめる
総務省の報告書には、事業者の契約書の例として、依頼者の都合によるキャンセルについて、当日なら見積額の40%、前日なら20%を請求するといった規定が載っています。国民生活センターの相談事例にも、「解約を申し出たら高額なキャンセル料を請求された」というものがあります。
確かめておきたいのは、次の3点です。
- キャンセル料がかかり始めるのは、何日前からか
- 料金は見積額の何%か、または定額か
- 日程変更もキャンセルと同じ扱いになるか(きょうだいの予定で日程が動きそうなときは特に)
見積書で見比べる項目
複数の見積書がそろったら、合計金額だけでなく、次の項目を並べて比べます。
| 比べる項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 作業の範囲 | 仕分け・運び出し・処分・清掃のどこまで含むか |
| 内訳 | 人件費・車両費・処分費が分かれているか |
| 処分の担当 | 自社の許可か、提携する許可業者か(名前があるか) |
| 買取り | 買取額が別に書かれているか |
| 追加料金 | 発生する条件が書かれているか |
| キャンセル料 | いつから・何%かが書かれているか |
| 作業日数・人数 | 見積もりの作業量に見合っているか |
| 支払い | 時期(作業前か後か)と方法 |
その場で決めない
見積もりの場で「今契約すれば安くなる」などと急かされても、その場では契約しないでください。京都市消費生活総合センターも、急かされてもその場ですぐに契約せず、周囲の人に相談するよう呼びかけています(2019年4月)。
どんなトラブルが起きている?どう防げばいい?
この章のポイント
- 急かされた契約、高額なキャンセル料、追加請求などの相談がある
- 当日、納得できない変更は、作業の前に断る
- 困ったら消費者ホットライン188に相談する
公的機関が公表している主な相談事例
国民生活センターは2018年7月、「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」として注意を呼びかけました。総務省の報告書によると、2008年度から2018年5月31日までにPIO-NETに登録された遺品整理の相談は755件です。
公的機関が公表している事例と、そこから考えられる防ぎ方を整理すると、次のとおりです。不用品回収サービスの事例は、家庭のごみを業者に回収してもらう点が遺品整理と共通するため、あわせて載せています。
急かされて契約したが、作業が始まらない
防ぎ方:その場で契約しない。作業日を契約書に書く
「見積もりの際にせかされて契約したが、作業が始まらないので解約したい」(国民生活センター、2018年)
「今日決めてもらったら安くなる」と言われ、その場で契約
防ぎ方:急かされても即決しない。周りの人に相談する
見積もりに来た遺品整理事業者と約25万円の契約をして2万円を払ったが、作業が始まらない(京都市消費生活総合センター「みやこ・くらしの安心安全情報」第104号、2019年4月)
解約を申し出たら、高額なキャンセル料
防ぎ方:キャンセル料の規定を契約前に確かめる
「解約を申し出たら高額なキャンセル料を請求された」(国民生活センター、2018年)
作業時に予定外の料金、見積金額の2倍
防ぎ方:追加料金の条件を書面で決めておく
「作業時に予定外の料金を請求され、最終的に見積金額の2倍の費用を請求された」(国民生活センター、2018年)
残すよう頼んだ物を処分された
防ぎ方:残す物と処分する物を事前に分け、作業当日に立ち会う
「処分しないようにと頼んだ物を勝手に処分された」(国民生活センター、2018年)
広告の「軽トラックパック7,000円」で頼んだら25万円(不用品回収)
防ぎ方:広告の金額をうのみにせず、訪問見積もりを取る
少量の不用品の回収を頼んだら、2トントラックで作業員3人が来て25万円を請求された(国民生活センター、2022年)
「定額パック料金は、全てが込み込みの料金」の広告なのに追加請求(不用品・粗大ごみ回収)
防ぎ方:定額料金に含まれない費用を事前に聞く
ウェブサイトに表示されていなかった処分費用などの名目で、想定より高い料金を請求された(消費者庁、2022年6月)
国民生活センターは2018年の発表で、次のように呼びかけています。
- 「複数社から見積もりを取るなど、事業者の選定は慎重に行いましょう」
- 「作業内容や費用を明確に出してもらうなど、見積書の内容を十分に確認しましょう」
- 「料金やキャンセル料、具体的な作業内容について事前に確認するようにしましょう」
- 「残しておく遺品と処分する遺品を明確に分けておくようにしましょう」
当日、見積もりと違う金額を言われたら
国民生活センターは、不用品回収サービスのトラブルについて、次のように助言しています(2022年11月)。遺品整理の当日にも参考になります。
- 作業の前:改めて料金や作業内容を確認する。見積もりからの変更を提案されて納得できなければ、作業前にきっぱり断る
- 作業中・作業後:予定外の料金を求められたら、納得した金額は後日支払うと伝え、その場での支払いは断る。支払いを迫られて身の危険を感じたら、警察に連絡するのも一法
- クーリング・オフ:見積もりのために呼んだ事業者とその場で契約した場合や、広告などの表示額と実際の請求額が大きく違う場合などは、特定商取引法の訪問販売のクーリング・オフなどが使える可能性がある
仙台市のページ(2026年10月19日更新)は、作業時はひとりで対応せず、家族や周りの人に立ち会ってもらうよう呼びかけています。
困ったときの相談先
契約やお金のトラブルは、消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、最寄りの消費生活センターなどを案内してもらえます(国民生活センター)。ごみの処分や許可業者については、実家のある市町村の清掃・廃棄物担当の窓口に問い合わせます。
クーリング・オフや契約の解除ができるかなど、最終的な判断は消費生活センターや弁護士に相談してください。
一括見積もりサービスを使うときは、何に気をつける?
この章のポイント
- 掲載業者でも、許可は業者ごとに自分で確かめる
- 何社に情報が送られ、どう連絡が来るかを先に確かめる
- 見積もりを頼んでも、契約するかどうかは自分で決める
一括見積もりサービスは、地域や間取りなどを一度入力すると、複数の業者に見積もりを頼めるサービスです。実家が遠く、地元の業者を知らない場合の探し方の一つになります。
- 許可の確認は自分でする:サービスに載っている業者でも、実家のある市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持つとは限りません。チェック表の1と2は、業者ごとに確かめます。
- 金額は訪問見積もりで比べる:サイト上の概算は目安です。部屋を見たうえでの見積書で比べます。
- 申し込む前に連絡の方法を確かめる:何社に情報が送られるか、連絡は電話かメールかを、サービスの説明で確かめておきます。選べるなら、依頼する社数を2〜3社に絞ると、やりとりの負担を抑えられます。
- 窓口を一人に決める:きょうだいの誰が業者とやりとりするかを決め、その人の連絡先で申し込みます。
- 訪問見積もりの日をまとめる:遠方の実家なら、同じ日に時間をずらして複数社に来てもらうと、立ち会いが1回で済みます。
- 断るときは短く:見積もりを頼んでも、契約するかどうかはこちらが決められます。「ほかの業者に決めたので、今回は見送ります」と伝えれば十分です。
断ったあとも勧誘の連絡が続いて困るときは、利用したサービスの問い合わせ窓口か、消費者ホットライン188に相談してください。
遺品整理の費用は、どのくらいの幅がある?
この章のポイント
- 総務省が集めた見積書75例では、20万円超30万円以下が23例
- 統計的に得た数値ではないので、部屋ごとの見積もりで確かめる
費用は、間取りや物の量、運び出しの条件、買取りの有無で大きく変わります。参考として、総務省の報告書には、調査で集めた見積書75例の金額の分布が載っています。
| 見積額 | 例の数 |
|---|---|
| 10万円以下 | 7例 |
| 10万円超20万円以下 | 19例 |
| 20万円超30万円以下 | 23例 |
| 30万円超40万円以下 | 12例 |
| 40万円超50万円以下 | 5例 |
| 50万円超60万円以下 | 3例 |
| 60万円超100万円以下 | 4例 |
| 100万円超 | 2例 |
いちばん多かったのは「20万円超30万円以下」の23例で、次が「10万円超20万円以下」の19例でした。ただし報告書は、これらは統計的に得た数値ではなく、実績値と考えるべきではないとしています。実際の金額は、部屋を見てもらったうえでの見積書で確かめてください。
間取り別の相場や、費用を抑える方法は、遺品整理の費用相場で詳しく解説しています。
業者を決める前に、家族で何を話しておく?
この章のポイント
- 窓口・残す物・費用の負担・立ち会いを、家族で先に決める
- 相続放棄を考えているなら、遺品の処分や売却の前に専門家へ
- 相続放棄は、知った時から3か月以内に家庭裁判所へ
業者とやりとりする窓口の人、残す物と形見分けの進め方、費用の負担、作業に立ち会える人、実家を売るか残すか。これらを家族で決めておくと、契約や作業の段取りが立てやすくなります。
相続放棄を考えているとき
相続放棄を考えている場合は、遺品の処分や売却の前に、弁護士や司法書士に相談してください。民法第921条第1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなすと定めています(保存行為などは除く)。
相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てます(裁判所「相続の放棄の申述」)。
どの行為が処分にあたるかや、相続放棄ができるかなど、最終的な判断は弁護士・司法書士などに相談してください。
実家を売るかどうかや、売るときの税金・登記の手続きは、状況によって扱いが変わります。最終的な判断は、税理士・司法書士などに相談してください。
仏壇の処分など、実家じまいに関するほかの記事は実家じまいのページにまとめています。
よくある質問
Q1. 実家が遠く、作業に立ち会えない場合はどうすればいいですか?
立ち会いなしで作業を受けるかどうかは、業者によって違います。国民生活センターの相談事例には、処分しないよう頼んだ物を勝手に処分されたというものがあります。訪問見積もりと作業当日のどちらかには、家族の誰かが立ち会えるように日程を組むと安心です。
どうしても難しい場合は、残す物のリストを渡す、作業の前後に写真を送ってもらう、貴重品が見つかったときの連絡方法を決める、といった取り決めを書面に残しておきます。
Q2. 「無料で回収します」という業者なら、許可がなくても問題ありませんか?
福岡市は、料金無料と宣伝していても、運送費や手数料などの名目で業者への支払いが必要なら、それはごみの回収にあたるとしています。許可なく廃棄物を収集運搬する行為は法律違反だとも案内しています。「無料」と書かれていても、一般廃棄物収集運搬業の許可(または市町村の委託)があるかを確かめてください。
Q3. 業者に頼まず、家族で片付けたごみを市の施設に持ち込めますか?
受け付けている市があります。横浜市は、引っ越しや遺品整理で一時的に多く出るごみについて、燃やすごみの焼却工場への持ち込み(事前の申込みが必要)などの方法を案内しています。
持ち込める品目や申込みの方法、手数料は市町村によって違うため、実家のある市町村のホームページで確かめてください。家電リサイクル法の対象の4品目は、市の施設では受け付けていない場合があるので、別に処分方法を確かめます。
出典
- 国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル-料金や作業内容に関するトラブルが発生しています-」(2018年7月19日)(確認日:2026-10-25)
- 国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル-市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!-」(2022年11月2日公表、11月11日更新)(確認日:2026-10-25)
- 総務省「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査<結果に基づく通知>」(2020年3月13日)(確認日:2026-10-25)
- 総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」(2020年3月、PDF)(確認日:2026-10-25)
- 総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査」要旨(PDF)(確認日:2026-10-25)
- 環境省 廃棄物適正処理推進課の資料(112〜113ページ「遺品・家財の取扱い及び使用済物品の適正な処理の確保について」。作成年月の記載なし。本文に令和6年5月の記述があり、令和6年5月以降の資料。PDF)(確認日:2026-10-25)
- 環境省「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について(通知)の発出及び使用済家電製品の正しい排出に関する普及啓発について(お知らせ)」(2012年3月20日)(確認日:2026-10-25)
- 消費者庁「ウェブサイト上で「お得な定額パック 定額パック料金は、全てが込み込みの料金」などの広告・表示をして不用品・粗大ごみ回収サービスを提供する事業者に関する注意喚起」(2022年6月1日)(確認日:2026-10-25)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)(確認日:2026-10-25)
- 古物営業法(e-Gov法令検索)(確認日:2026-10-25)
- 特定商取引に関する法律(e-Gov法令検索)(確認日:2026-10-25)
- 民法(e-Gov法令検索)(確認日:2026-10-25)
- 大阪府警察「古物営業法改正について」(確認日:2026-10-25)
- 滋賀県公安委員会「古物商一覧」(2021年10月1日更新)(確認日:2026-10-25)
- 大阪市「クーリング・オフとは」(確認日:2026-10-25)
- 一般財団法人遺品整理士認定協会(確認日:2026-10-25)
- 一般財団法人遺品整理士認定協会「よくある質問」(確認日:2026-10-25)
- 国土交通省 国土交通政策研究所「賃貸住宅等における残置物問題に関する検討会 報告書」(2021年6月、PDF)(確認日:2026-10-25)
- 京都市消費生活総合センター「みやこ・くらしの安心安全情報」第104号(2019年4月、PDF)(確認日:2026-10-25)
- 京都市「一般廃棄物収集運搬業許可業者<許可番号順>」(2026年10月16日更新)(確認日:2026-10-25)
- 横浜市「一時多量ごみ(引っ越しや遺品整理など)」(2026年8月21日更新)(確認日:2026-10-25)
- 福岡市「遺品整理及び引越時に発生する家庭系ごみに限定した一般廃棄物収集運搬業許可について」(2026年6月9日更新)(確認日:2026-10-25)
- 福岡市「ごみ(不用品)の処分(不用品回収)に「無許可の回収業者」を利用しないでください」(2026年3月13日更新)(確認日:2026-10-25)
- 札幌市「引越しや遺品の整理などで一時的に多量に出るごみの処理について」(2018年10月5日更新)(確認日:2026-10-25)
- 仙台市「不用品回収サービスのトラブルにご注意ください!」(2026年10月19日更新)(確認日:2026-10-25)
- 裁判所「相続の放棄の申述」(確認日:2026-10-25)
