散骨は違法?法律・条例の整理と手続きの流れ

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散骨は違法?法律・条例の整理と手続きの流れ

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※2026年10月時点の情報です。

結論:散骨は違法? 法律ではどう扱われている?

散骨そのものを直接定めた法律は、2026年10月時点でありません。国の法律には、散骨のための許可や届け出の制度もありません。

ただし、「何をしてもよい」わけではありません。散骨は、葬送として「相当の節度をもって」行うことが前提です。刑法の遺骨遺棄罪との関係で、相当の節度をもって行う場合は処罰の対象にならないと解されている、とされるためです(後述)。

実際に進めるときは、次の3点を確かめます。

  1. 散骨する場所の条例:散骨を禁止・原則禁止する条例や、散骨場を許可制にする条例があります(令和4年9月時点の一覧で15市町村)
  2. 遺骨の形状:形がわからない粉状に砕きます(厚生労働省のガイドライン)
  3. 墓じまいの場合の手続き:お墓から取り出すときの扱いは、市区町村によって異なります

墓じまい全体の流れは墓じまいの進め方と手続き、遺骨の行き先の比べ方は墓じまい後の遺骨はどこへ?6つの行き先を比較で解説しています。

この記事の目次
  1. 散骨に関係する法律やルールには、何がある?
  2. 散骨を条例で規制・禁止している自治体はどこ?
  3. 散骨の手続きはどう進める? 火葬後と墓じまい後で違う?
  4. 散骨は自分でできる? 業者に頼む場合と何が違う?
  5. トラブルを避けるには、どんな散骨業者を選べばいい?
  6. 相談先はどこ?
  7. よくある質問
  8. 出典

散骨に関係する法律やルールには、何がある?

この章のポイント

  • 散骨を直接定めた法律はないが、刑法・墓埋法などが関係する
  • 遺骨を土に埋めると、墓地以外への埋蔵として問題になる
  • 国のガイドラインは事業者向けだが、個人にも目安になる

散骨には、次の法令やルールが関係します。

刑法190条(死体損壊等)

遺骨の遺棄などを罰する規定

  • 条文:「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の拘禁刑に処する。」
  • 散骨との関係:遺骨を捨てる行為は「遺骨遺棄」にあたるおそれがあります。葬送として相当の節度をもって行う散骨は、処罰の対象にならないと解されている、とされます(下記)

墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)4条

墓地以外での埋葬・埋蔵の禁止

  • 条文:「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」
  • 散骨との関係:厚生労働省のガイドラインは、散骨を、墓埋法が想定する埋蔵・収蔵以外の方法と位置づけています。一方、遺骨を土に埋めると、墓地以外への埋蔵として問題になります

墓埋法5条(埋葬・火葬・改葬の許可)

改葬などには市町村長の許可が必要

  • 定めていること:埋葬、火葬または改葬を行おうとする人は、市町村長の許可を受けなければならない
  • 散骨との関係:お墓から出した遺骨を散骨するときに、改葬許可が要るかどうかが論点になります(後述)

廃棄物処理法16条

廃棄物の投棄の禁止

  • 条文:「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」
  • 散骨との関係:散骨と一緒に、包装やビニールなどを海や山に捨てないよう注意が必要です

自治体の条例・指針・要綱

散骨の禁止、散骨場の許可制など

  • 散骨との関係:一部の市町村には、散骨を規制する条例や指針があります(次の章)

厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」

散骨の場所、粉骨、周辺への配慮、契約、散骨証明書など

  • 位置づけ:法律ではありませんが、国の研究事業でまとめられ、厚生労働省のサイトに掲載されている目安です

「節度をもって行われる限り違法ではない」は、どこから来ている?

一般財団法人 地方自治研究機構の整理によると、1991年(平成3年)10月に法務大臣が記者会見で、刑法190条について、葬送のための祭祀で節度をもって行われる限り問題はないという趣旨を述べた、とされています。

ただし、同機構の整理では、旧厚生省・厚生労働省や法務省がこの見解を公式な文書で示したものは確認できないとされています。そのため本記事では「〜という見解が示されたとされる」という扱いにとどめます。

公的な文書で確認できるのは、次の記述です。総務省行政評価局の「墓地行政に関する調査」の結果報告書(令和5年9月)は、厚生省(当時)の「これからの墓地等の在り方を考える懇談会報告書」(1998年(平成10年)6月)を引いて、「刑法の遺骨遺棄罪は社会的な習俗、倫理に関するものであり、相当の節度をもって行う場合は、散骨を処罰の対象とすることはできないと解されている」と紹介しています(報告書の年月は、厚生労働省の通知「墓地経営・管理の指針等について」で確認)。

また、東京都保健医療局のページは、国の見解として「墓地、埋葬等に関する法律においてこれを禁止する規定はない」と紹介しています。そのうえで、念のため地元の自治体に確認するよう勧めています。

つまり、「節度をもって行う」ことが前提です。何が節度にあたるかを定めた法律はないため、実務上はガイドラインと自治体のルールに沿うのが目安になります。

迷ったときは

個別の事情で判断に迷うときは、弁護士や、散骨する場所の自治体に確認してください。

国のガイドラインには、何が書かれている?

厚生労働省のサイトに掲載されている「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」は、令和2年度の厚生労働科学特別研究事業「墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究」の研究報告書にまとめられたものです。

対象は散骨事業者ですが、自分で散骨する人にも参考になります。主な内容は次のとおりです(要旨・引用)。

  • 散骨の定義:墓埋法に基づき適法に火葬された焼骨を粉状に砕き、墓埋法が想定する埋蔵・収蔵以外の方法で、陸地または水面に散布・投下する行為
  • 焼骨の形状:「焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと。」
  • 場所(海洋):「海岸から一定の距離以上離れた海域」。距離は地理条件や利用状況などの実情を踏まえて設定するとしており、数値の定めはありません
  • 場所(陸上):「あらかじめ特定した区域(河川及び湖沼を除く。)」
  • 関係者への配慮:地域住民、周辺の土地所有者、漁業者等の関係者の利益や宗教感情等を害さないよう、十分に配慮する
  • 自然環境への配慮:プラスチックやビニール等を原材料とする副葬品等を投下するなど、自然環境に悪影響を及ぼす行為はしない
  • 契約:約款を整備・公表し、契約は文書で行い、費用の明細書を契約書に添付する
  • 散骨証明書:散骨後に、散骨を行ったことを証する散骨証明書を作成し、利用者に交付する
  • 安全の確保:海洋の場合は、必要な教育訓練を受けた従事者・補助者の配置や、ライフジャケット等の安全装具の確保など
  • 守るべき法令:墓埋法、刑法、廃棄物処理法、海上運送法、民法などの関係法令と、自治体の条例・ガイドライン等

散骨を条例で規制・禁止している自治体はどこ?

この章のポイント

  • 令和4年9月時点の一覧では、15市町村に散骨を規制する条例がある
  • うち6市町村は、個人の散骨も禁止・原則禁止している
  • 熱海市・伊東市は、海洋散骨の指針で陸からの距離を示している

散骨を規制する条例は、全国でも一部の市町村にとどまります。一般財団法人 地方自治研究機構の「散骨を規制する条例」(令和4年9月6日時点の一覧)では、15の市町村が挙がっています。規制の方法は大きく4つに分かれます。

出典:下の一覧の条例名・条文・罰則の有無は、一般財団法人 地方自治研究機構の整理(令和4年9月6日時点)によります。

散骨を禁止する条例

3町村

  • 北海道長沼町(長沼町さわやか環境づくり条例):墓地以外の場所での焼骨の散布を禁止。罰則あり
  • 宮城県松島町(松島町環境美化の促進に関する条例):「何人も、みだりに焼骨を散布してはならない。」罰則あり(命令に従わない場合など)
  • 熊本県南阿蘇村(南阿蘇村環境美化条例):墓地以外の場所での散骨を禁止。罰則なし

散骨を原則として禁止する条例

2市(要件を満たし、届け出などをすれば散骨できる)

  • 埼玉県秩父市(秩父市環境保全条例):墓地以外の場所での散骨を禁止。ただし、市長が別に定める場合は除く(市長に届け出たうえで認められる)。罰則なし
  • 鹿児島県伊佐市(伊佐市環境保全及び美化推進条例):市長が別に定める場合を除き、散骨を禁止(市長に申請し、承認を得たうえで認められる)。罰則あり

散骨場を規制し、散骨も原則禁止する条例

1市

  • 北海道岩見沢市(岩見沢市における散骨の適正化に関する条例):散骨場の経営は市長の許可制。散骨場以外の区域での散骨は禁止で、あらかじめ市長に届け出た区域でのみ散骨できる
  • 罰則:許可を受けずに散骨場を経営した場合などが対象。届け出の手続きや、散骨場以外での散骨には罰則なし

散骨場の経営などを規制する条例

9市町

  • 静岡県熱海市(熱海市散骨場の経営の許可等に関する条例):罰則なし
  • 静岡県伊東市(伊東市散骨場等の経営の許可等に関する条例):罰則なし
  • 静岡県御殿場市(御殿場市散骨場の経営の許可等に関する条例):罰則あり
  • 静岡県三島市(三島市散骨場の経営等の許可等に関する条例):罰則あり
  • 長野県諏訪市(諏訪市墓地等の経営の許可等に関する条例):罰則なし
  • 埼玉県本庄市(本庄市散骨場の設置等の適正化に関する条例):罰則なし
  • 神奈川県湯河原町(湯河原町散骨場の経営の許可等に関する条例):罰則なし
  • 神奈川県箱根町(箱根町散骨場の経営の許可等に関する条例):罰則なし
  • 愛媛県愛南町(愛南町散骨事業等の適正化に関する条例):罰則なし

※地方自治研究機構の一覧をもとに作成。岩見沢市は市の例規集(2026年10月24日)、松島町は町の例規集(2026年10月25日)で条例の原文も確認しました。秩父市は、市のページ「散骨行為の規制について」もあわせて参照しました(2026年10月24日)。一覧は令和4年9月6日時点のもので、その後に制定・改正された条例は含まれていない可能性があります。たとえば神奈川県三浦市は、一覧の後に「三浦市散骨場の経営等の許可等に関する条例」(令和7年1月22日条例第1号)を令和7年(2025年)1月27日に施行し、市内で散骨場を経営するには、あらかじめ市長の許可が必要になりました。許可を受けずに経営した場合は5万円以下の過料の対象です(罰則は、施行日と公布から2か月を経過した日の遅い方から適用)。三浦市の例規集で条例の原文も確認しました(2026年10月25日)。

※「罰則あり」の条例でも、散骨したことだけで、すぐに罰せられる規定とは限りません。罰則がかかる条件は条例ごとに違います。

  • 松島町:焼骨の散布の禁止(8条)に違反した人には、町長が勧告し、勧告に従わないときは命令することができます(9条)。この命令に従わなかった場合に、5万円以下の罰金となります(14条2項)。焼骨の散布場所を提供することを業とした者は、6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です(14条1項)。
  • 岩見沢市:12条の罰則(6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)は、許可を受けずに散骨場を経営した場合などが対象です。届け出の手続きや、散骨場以外での散骨には罰則がありません。

一覧とあわせて知っておきたいことは、次の3点です。

  • 個人の散骨まで禁じている自治体がある:長沼町・松島町・南阿蘇村・秩父市・伊佐市・岩見沢市は、墓地以外や散骨場以外での散骨を禁止、または原則禁止にしています。
  • 熱海市・伊東市は、条例とは別に海洋散骨の指針を定めている:熱海市の「熱海市海洋散骨事業ガイドライン」(平成27年7月1日)は、事業者に対し、市内の土地(初島を含む)から10キロメートル以上離れた海域で行うこと、海水浴などでにぎわう夏期の海洋散骨は控えることなどを求めています。伊東市の「伊東市における海洋散骨に係る指針」(平成28年2月1日)は、海洋散骨を行う人と事業者に対し、市内の陸地から6海里(約11.11km)以内の海域で散骨しないことなどを求めています。どちらも遵守を求める指針で、罰則は定めていません。
  • 条例ではなく、要綱で定めている例もあるとされる:中標津町議会の一般質問(令和5年12月定例会)で、議員が紹介しています。議員の発言によると、北海道七飯町は「葬法に関する要綱」で、散骨場として事業を行う場合の申請や、散骨してはいけない場所などを定めているとされています。

散骨する前に確認を

条例・要綱・指針は、自治体のサイトでは見つけにくいことがあります。散骨したい場所が決まったら、その市町村の環境衛生や墓地の担当課に、規制の有無を確認してください。

散骨の手続きはどう進める? 火葬後と墓じまい後で違う?

この章のポイント

  • 国の法律には、散骨のための許可や届け出の制度はない
  • 墓じまいの場合は、お墓から出す手続きを市区町村に確認する
  • 粉骨の大きさは、国のガイドラインでは数値で決まっていない

散骨の流れは、遺骨がいまどこにあるかで変わります。

火葬したばかりで、遺骨が手元にある場合

  1. 家族・親族と話し合う散骨したあとの遺骨は元に戻せません。全部をまくか、一部を手元やお墓に残すかも決めます。
  2. 火葬許可証を保管する火葬場で火葬が済むと、必要な事項が記入された火葬許可証が返されます(墓埋法16条2項)。散骨の対象は「適法に火葬された」焼骨とされているため(国のガイドラインの定義)、火葬が済んだことを示す書類として保管しておきます。
  3. 散骨の方法と業者を選ぶ自分でまくか、業者に頼むかを決めます(次の章)。
  4. 粉骨する遺骨の形がわからない粉状にします。業者に頼む場合は、粉骨がプランに含まれるかを確認します。
  5. 散骨する業者に頼んだ場合は、散骨証明書を受け取ります。

国の法律には、散骨のための許可や届け出の制度はありません。郡山市のように、市の案内で「散骨について届出や許可申請などの制度はありません」と明記している自治体もあります。

ただし、条例のある自治体では、届け出や承認が必要になる場合があります(前章の一覧)。

墓じまいで、お墓から遺骨を取り出す場合

墓じまいの場合は、散骨の前に「お墓から遺骨を出す」手続きが加わります。

  1. お墓の管理者(寺院・霊園)に相談する取り出す時期や、閉眼供養、墓石の撤去について話し合います。
  2. 市区町村の窓口で、必要な手続きを確認するお墓がある市区町村の窓口に、「取り出した遺骨を散骨したい」と伝えて確認します。
  3. 遺骨を取り出し、墓石を撤去する墓じまいの全体の流れは墓じまいの進め方と手続きで解説しています。
  4. 粉骨する業者に頼む場合は、遺骨の状態に応じて洗骨や乾燥が要るかも相談します。
  5. 散骨する散骨証明書を受け取り、保管します。

散骨するときに、改葬許可は要る?

墓埋法でいう「改葬」は、埋蔵・収蔵した焼骨を、ほかの墳墓や納骨堂へ移すことなどです(2条3項)。散骨は「ほかのお墓に移す」ことではないため、改葬許可の扱いが問題になります。

  • 厚生労働省の見解として、散骨・自宅安置は改葬許可が不要とされています(総務省東北管区行政評価局の資料)。根拠は、総務省行政評価局の調査(令和5年9月)です。
  • ただし東京都は、散骨のためにお墓から遺骨を取り出す場合は区市町村により取扱いが異なるとしています。必要な手続などは区市町村に確認するよう案内しています。
  • 静岡市は、自宅などへの引取や散骨を行う場合は「手続きが異なるため」、現在遺骨がある墓地・納骨堂の管理者に問い合わせるよう案内しています。

このように、実際の運用は自治体や墓地によって違います。お墓のある市区町村の窓口と、墓地の管理者の両方に、事前に確認してください。

一部だけを散骨して、残りをほかのお墓や納骨堂に移す場合は、移す分について改葬許可が必要です。申請書の書き方は改葬許可申請書の書き方と自治体別の窓口を参考にしてください。

散骨証明書は何のために要る?

国のガイドラインは、散骨事業者に、散骨を行ったことを証する散骨証明書の作成と交付を求めています。記載する内容までは定めていません。

法律で提出が求められる書類ではありませんが、次のような場面で役立つことがあります。

  • 墓地の管理者や親族に、遺骨をどうしたかを説明するとき
  • 後年、散骨した日や場所を確かめて、お参りや慰霊をするとき

業者を選ぶときは、散骨証明書を出すか、日時や場所(海なら緯度・経度)が書かれるかを確認しておくと安心です。

粉骨はどのくらいの細かさにする?

国のガイドラインは、具体的な大きさを数値では定めていません。「その形状を視認できないよう粉状に砕くこと」としています。

業界団体の一般社団法人 日本海洋散骨協会のガイドライン(令和3年8月1日改定)は、加盟事業者に対し、「遺骨と分からない程度(1mm~2mm程度)に粉末化しなければいけません。」としています。

粉骨は、散骨業者や粉骨専門の業者に頼めます。料金は業者などで変わります。

公表されている料金の例として、公益社(京都)の粉骨のページでは、粉骨・パウダー化が1体44,000円〜(税込、確認日:2026-10-25)です。ただし、同社は火葬後の遺骨(焼骨)のみの受付で、お墓から取り出した遺骨には対応していないとしています。墓じまいで取り出した遺骨の粉骨を頼む場合は、受け付けているかを業者に確認してください。

散骨は自分でできる? 業者に頼む場合と何が違う?

この章のポイント

  • 自分で散骨することを、国の法律は禁じていない
  • 粉骨・場所選び・周囲への配慮を、すべて自分で判断する
  • 他人の土地、漁場や海水浴場の近く、川や湖は避ける

散骨を自分ですることを、国の法律は禁じていません。ただし、粉骨・場所選び・周囲への配慮を、すべて自分で判断することになります。

粉骨

  • 自分で散骨する:自分で砕くのは手間がかかり、負担を感じる人もいる。粉骨だけ業者に頼むこともできる
  • 業者に頼む:プランに粉骨が含まれるかを確認する

場所の判断

  • 自分で散骨する:条例、土地の所有者、漁業者、観光地への影響を自分で調べる
  • 業者に頼む:業者が海域や散骨場を選ぶ。どこでまくかを事前に確認する

海の場合の船

  • 自分で散骨する:船を用意する必要がある
  • 業者に頼む:業者が船を手配する。ガイドラインは、海洋の場合の安全の確保(教育訓練を受けた従事者の配置、ライフジャケット等の安全装具など)を事業者に求めている

記録

  • 自分で散骨する:自分で日時・場所を記録する
  • 業者に頼む:散骨証明書を受け取れる(ガイドラインが交付を求めている)

トラブルのリスク

  • 自分で散骨する:周囲の人に見られたり、苦情を受けたりするおそれがある
  • 業者に頼む:ガイドラインに沿って配慮する業者を選べば、リスクを下げられる

費用

  • 自分で散骨する:粉骨・船などの実費
  • 業者に頼む:プランによる

自分で散骨するなら、何に気をつける?

国のガイドラインと東京都の留意事項などをもとに、注意点を整理しました。違法かどうかは個別の状況で判断されるため、迷ったら散骨する場所の自治体や弁護士に確認してください。

粉骨

  • 遺骨は、形がわからない粉状にします。骨の形が残っていると、見た人からの苦情など、トラブルの原因になりかねません。

場所の選び方

  • 他人の土地にはまかない:山林や空き地でも、所有者の了解なしにまくと、土地の所有者や近隣の住民とのトラブルになるおそれがあります。
  • 漁場・養殖場・海水浴場の近くを避ける:東京都は、海や川での散骨では水産物などへの風評被害が生じるおそれがあるとしています。ガイドラインも、漁業者等への配慮を求めています。
  • 海岸や港の近くを避ける:ガイドラインは「海岸から一定の距離以上離れた海域」としています。熱海市(10キロメートル以上)や伊東市(6海里以内では散骨しない)のように、自治体が指針で距離を示している例もあります(前章)。日本海洋散骨協会のガイドラインは、加盟事業者に対し、人が立ち入ることができる陸地から1海里以上離れた海洋上のみで散骨を行うことを求めています。
  • 川や湖は避ける:ガイドラインは、陸上の散骨区域から「河川及び湖沼」を除いています。

自宅の庭でも注意

東京都は、個人が庭などに墓地をつくることは法令上認められていないとしています。遺骨を土に埋めると、墓地以外への埋蔵として問題になります(墓埋法4条)。

粉状にしてまく場合も、遺灰が近隣に飛ぶおそれがあることや、遺骨への受け止め方が人によって違うことに配慮が必要です(東京都の留意事項)。

まき方と周囲への配慮

  • 日本海洋散骨協会のガイドラインは、加盟事業者に、散骨の主催者や参列者に対しても桟橋やマリーナの他の利用者へ配慮するよう要請することを求めています。注では、桟橋やマリーナは公共の場でレジャー目的の利用者が多いことから、場所によっては喪服着用の辞退や、お骨・遺影・献花・献酒を袋に入れて持ち運ぶなどの配慮が必要としています。周囲の人の目にも配慮します。
  • 金属・ビニール・プラスチック・ガラスなど、自然に還らないものはまきません(熱海市・伊東市の指針、日本海洋散骨協会のガイドライン、国のガイドライン)。包装などのごみは持ち帰ります(廃棄物処理法16条)。
  • 散骨の前に、条例のある自治体ではないかを確認します(前章の一覧)。

記録と家族への説明

  • 日時と場所(海なら緯度・経度)を記録しておきます。
  • 散骨に反対する親族がいる場合は、全部をまかずに、一部を手元供養やお墓に残す方法もあります。

トラブルを避けるには、どんな散骨業者を選べばいい?

この章のポイント

  • 散骨は国の法律で直接定められておらず、ガイドラインにも強制力はない
  • 業者がガイドラインに沿っているかを、自分で確かめる
  • 約款、書面の契約、費用の明細、散骨証明書を確認する

散骨は国の法律で直接定められておらず、国のガイドラインにも法的な強制力はありません。散骨場の経営を条例で許可制にしている自治体はあります(前章の一覧)。

そのため、業者がガイドラインに沿っているかを、自分で確かめることが大切です。ガイドラインの内容をもとに、確認したい点をチェックリストにしました。

  • 約款・契約書:約款を公開しているか。契約を書面で交わし、費用の明細書が付くか
  • 費用の内訳:粉骨・乗船・献花・証明書などが基本料金に含まれるか。追加料金が出る条件は何か
  • 事前の説明:契約前に、散骨の方法や注意点を説明してくれるか
  • 解約:解約の条件と、返金の扱いが約款に書かれているか
  • 散骨の場所:どの海域・区域でまくか。海岸からの距離や、漁場への配慮をどう考えているか
  • 安全対策:乗船する場合、ライフジャケットなどの安全装具や、必要な教育訓練を受けた従事者がいるか
  • 散骨証明書:散骨後に証明書を出すか。日時や場所(海域の緯度・経度など)が書かれるか
  • 実施状況の公表:年度ごとの散骨の件数や場所を公表しているか
  • 天候による延期:悪天候で出航できないとき、日程の変更や返金はどうなるか

最後の「天候による延期」はガイドラインの項目ではありませんが、契約前に確かめておきたい点として加えています。

相談先はどこ?

相談したいこと相談先
散骨したい場所に条例や要綱があるか散骨する場所の市町村(環境衛生・墓地の担当課)
お墓から遺骨を出すときの手続きお墓がある市区町村の窓口(改葬の担当課)と、墓地の管理者
散骨の方法・海域・費用散骨業者(複数社から見積もりをとる)
散骨が違法にあたらないか、親族間の争い弁護士
業者との契約トラブル消費生活センター(消費者ホットライン188)

よくある質問

Q1. 法律や条例に違反すると、どんな罰則がありますか?

違反した規定によって違います。たとえば、墓地以外の区域に焼骨を埋蔵する(土に埋める)ことは墓埋法4条1項で禁じられ、違反すると2万円以下の罰金または拘留もしくは科料の対象になります(同法21条)。

条例では、岩見沢市が、許可を受けずに散骨場を経営した場合などに6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を定めています。一方、罰則を置いていない条例もあります(条例の章の一覧)。

Q2. 墓じまいで取り出した遺骨を、散骨するまで自宅に置いておけますか?

厚生労働省の見解として、散骨・自宅安置は改葬許可が不要とされています(総務省東北管区行政評価局の資料)。ただし東京都は、散骨のためにお墓から遺骨を取り出す場合は区市町村により取扱いが異なるとしています。

また、静岡市のように、自宅などへの引取は手続きが異なるとして、墓地・納骨堂の管理者への問い合わせを案内する自治体もあります。取り出す前に、お墓のある市区町村と管理者に確認してください。

Q3. 樹木葬は、散骨とどう違いますか?

樹木葬は、樹木などを墓標にして、墓地の区画に焼骨を納める供養の方法です。焼骨を土に埋める(埋蔵する)場合は、墓埋法4条1項により、墓地として許可を受けた区域で行う必要があります。

散骨は、国のガイドラインの定義では、墓埋法が想定する埋蔵・収蔵以外の方法で、粉状にした焼骨をまく行為です。樹木葬を含む行き先の比べ方は、墓じまい後の遺骨はどこへ?6つの行き先を比較で解説しています。

出典

執筆・編集:しまい支度編集部(編集方針)

最終確認日:2026年10月25日