墓じまいで親族ともめない切り出し方|話す順番と文例・確認リスト

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墓じまいを親族に切り出すときの話し方

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※2026年10月時点の情報です。

結論:墓じまいの話し合いは、どう進めるともめにくい?

業者による100人の調査では、墓じまいの前に不安だったことの最多は費用(52.0%)でしたが、「親族の理解が得られるか」を挙げた人も32.0%いて、実際に親族との話し合い・調整に苦労した人は24.0%でした。墓じまいの代行サービスを運営する株式会社Sora Capitalが、2026年に経験者100人に行った調査です。

この記事では、次の順で準備することをすすめます。

  1. お墓を引き継ぐ人を確かめる:民法897条では、お墓は相続財産とは別に祭祀承継者が引き継ぎます
  2. 内側から外側へ話す:親・祭祀承継者 → きょうだい → お参りに来ている親族 → お寺 → 業者
  3. 反対の理由を聞き分ける:ご先祖への思い、お参りの場所、費用、お寺との関係で、答え方が変わります
  4. 費用は見積もりを全員で共有する:民法897条には費用負担の定めがなく、家族の話し合いで決めることになります
  5. お寺には、親族の方針がそろってから相談する:離檀料には明確な基準がありません

手続きの全体の流れは墓じまいの進め方と手続き、費用の内訳は墓じまいの費用相場と内訳で解説しています。

この記事の目次
  1. 墓じまいの話し合いは、どこでつまずきやすい?
  2. まず確認:お墓を継いでいるのは誰?(祭祀承継者と民法897条)
  3. 誰に、どの順番で話す?
  4. 反対されやすい理由と、それぞれへの答え方
  5. 墓じまいの費用は誰が払う?分け方の考え方
  6. お寺にはいつ、どう伝える?離檀料はどう考える?
  7. 話し合いの切り出し方:そのまま使える文例
  8. 話し合いの前と当日に使える確認リスト
  9. 話がまとまらないときの相談先
  10. よくある質問
  11. 出典

墓じまいの話し合いは、どこでつまずきやすい?

この章のポイント

  • 事前の不安は費用が52.0%で最多、親族の理解は32.0%
  • 実際に親族との調整に苦労した人は24.0%
  • 墓じまいをやめた理由の2位に「親戚から理解を得られなかった」

墓じまいの経験者100人に聞いた調査(株式会社Sora Capital「墓じまい経験者の実態調査」。2026年9月調査、10月2日公表)では、墓じまいの前に不安だったことの上位は次のとおりでした(複数回答)。

事前に不安だったこと割合
費用が高額になりそう・相場が分からなかった52.0%
お寺・霊園とのやり取り(離檀料の請求など)37.0%
親族の理解が得られるか32.0%
手続きや書類、遺骨の移転先選び、業者選びなど進め方が分からなかった27.0%

同じ調査で、実際に「後悔した」「大変だった」こととして「親族との話し合い・調整に苦労した/関係が悪くなった」を選んだ人は24.0%でした。

別の設問で、振り返って「もっとこうすればよかった」と思うことを尋ねると、「もっと早く親族に相談・共有しておけばよかった」が20.0%でした。

この調査は墓じまいの代行サービスを運営する会社によるもので、回答者は40〜70歳の100人です。全体の傾向を見る目安として読んでください。

検討の途中でやめた人の理由にも、親族の問題が出てきます。鎌倉新書の「第3回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)」では、墓じまいをやめた理由の1位が「解体費用が高すぎた」26.3%でした。2位は「親戚から理解を得られなかった」と「手続きがめんどうだった」で、ともに21.1%です。この「やめた理由」の回答者数は、公表資料に書かれていません。

まず確認:お墓を継いでいるのは誰?(祭祀承継者と民法897条)

この章のポイント

  • お墓は相続財産とは別に、祭祀承継者が引き継ぐ
  • 承継者は、指定→慣習→家庭裁判所の順で決まる
  • お墓を引き継ぐ人と、親族の納得は別に考える

この記事では、祭祀承継者や墓地の名義人を、まず話すべき相手と考えます。話し合いの前に、このお墓を引き継いでいる人(祭祀承継者)と墓地の名義人が誰かを確かめておくことをすすめます。

ここが曖昧なままだと、話の途中で「そもそもあなたが決めることなのか」という議論になることがあります。

民法897条には何が書かれている?

お墓(条文では「墳墓」)の扱いは、民法897条(祭祀に関する権利の承継)に定められています。e-Gov法令検索で確認した条文は次のとおりです。

第八百九十七条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

要点は次の3つです。

  • お墓は、預貯金や家などの相続財産とは別に引き継がれる。条文に「前条の規定にかかわらず」とあり、前条(896条「相続の一般的効力」)の相続のルールとは切り分けられています
  • 引き継ぐ人(祭祀承継者)は、①亡くなった人の指定 → ②慣習 → ③家庭裁判所、の順で決まる
  • きょうだいで等分するものではなく、祖先の祭祀を主宰する人が引き継ぐ

「お墓を引き継ぐ人」と「親族が納得しているか」は別の話

祭祀承継者がはっきりしていても、ほかの親族がお参りを続けてきたお墓であれば、気持ちのうえでは「みんなのお墓」です。

お墓を引き継ぐ人が一人で進めると、手続きは進んでも関係がこじれることがあります。権利を確かめたうえで、「誰に、どの順番で納得してもらうか」を考えます。

なお、墓地の名義人(墓地使用者)と祭祀承継者が違う場合や、名義人がすでに亡くなっている場合は、改葬の手続きで名義の扱いが問題になることがあります。詳しくは墓じまいの進め方と手続きを見てください。

迷ったときは

誰がお墓を継ぐかで親族の意見が分かれるときや、家庭裁判所の手続きが視野に入るときは、ひとりで判断しないでください。条文の読み方や個別の事情の扱いについて、最終的な判断は弁護士などに相談してください。

誰に、どの順番で話す?

この章のポイント

  • お墓を引き継ぐ人と費用を負担する人から先に話す
  • お寺と業者は、親族の方針が固まってから
  • おじ・おばにも「考えている」段階で伝える

この記事では、「内側から外側へ」の順をすすめます。お墓を引き継ぐ人と費用を負担する人が先、お寺や業者はそのあとです。

  1. 親(存命の場合)、祭祀承継者、墓地の名義人伝えること:墓じまいを考えている理由と、まだ決定ではないこと。先に話す理由:お墓を引き継ぐ人の意向がわからないと、ほかの人に話せないため
  2. きょうだい(とくに費用を分ける可能性がある人)伝えること:理由、遺骨の行き先の候補、費用の見込みと分け方の案。先に話す理由:費用の話は、ほかの親族より先に家族の中で整理しておくため
  3. お参りに来ている親族(おじ・おば、いとこなど)伝えること:方針と、今後のお参りの方法。先に話す理由:「知らないうちに決まっていた」と受け取られると、反発につながることがあるため
  4. お寺・墓地の管理者伝えること:墓じまいを考えていること、相談したいこと。この順にする理由:親族の方針が固まる前に話すと、話が二重三重になることがあるため
  5. 石材店・改葬先・代行業者伝えること:見積もりの依頼、日程。この順にする理由:方針が決まってから比べるほうが、条件をそろえやすいため

Sora Capitalの調査で「もっと早く親族に相談・共有しておけばよかった」が20.0%あったことを考えると、この記事では、3番目の親族にも、決める前の「考えている」段階で伝えておくことをすすめます。

全国石製品協同組合(全石協)の「墓じまい」に関するアンケート調査(2026年4月、全国の40〜70代500人)では、墓じまいを検討するときに誰に相談するかを尋ねた設問(複数回答)で、「誰にも相談しない」が32.8%でした。最も多かった「夫・妻」33.2%に次ぐ割合です。

切り出す前に自分の考えを整理したいときは、確認リストの「墓じまいを考える理由を、自分の言葉で一文にまとめたか」から始めることをすすめます。話の入り口をつくりやすくなります。

親が元気なうちに

親が元気なうちに「お墓を誰に任せるか」を聞いておくと、誰を指定するつもりか(指定があるか)を確かめる手がかりになり、あとできょうだいの解釈が分かれる場面を減らしやすくなります。

指定の方法や、遺言に書くかどうかについて、最終的な判断は弁護士・司法書士などに相談してください。

反対されやすい理由と、それぞれへの答え方

この章のポイント

  • 反対の理由は、気持ちと、お金・お寺との関係に分けて聞く
  • 気持ちの反対には、まず相手の話を聞く
  • 費用の反対には、続けた場合の負担も並べる

この記事では、反対の理由を「気持ち」と「お金・お寺との関係」に分けて考えます。気持ちの反対に費用の話で答える、といった食い違いが起きると、話がかみ合わないことがあります。まず、相手がどの理由で反対しているのかを聞き分けます。

ご先祖への思い(先祖に申し訳ない、代々のお墓を絶やすのか)

答え方:「供養をやめる」のではなく「供養の場所と形を変える」と伝える

  • 調査で見えること:墓じまいを検討したことがない理由の自由回答に「ご先祖様がいたからこそ、今がある。」という声(日本トレンドリサーチ、2022年)
  • 具体的に示すこと:閉眼供養と、移した先での供養の予定
  • 用意しておくもの:改葬先の候補と、そこでの供養の内容(永代供養の有無など)

お参りの場所がなくなる

答え方:新しい納骨先のお参りのしやすさを伝える

  • 調査で見えること:墓じまいをしないほうが良かったこととして「墓参りの思い出が子どもたちに引き継げない」「故郷に何も残らなくなった」という声(日本トレンドリサーチ、2022年)
  • 具体的に示すこと:場所・交通・開園時間。分骨や手元供養で、遺骨の一部を手元に残す方法もある
  • 用意しておくもの:改葬先の所在地、アクセス、お参りのルール

費用(誰が払うのか、高すぎる)

答え方:見積もりを取ってから、分け方の案を複数出す

  • 調査で見えること:事前の不安の1位が費用で52.0%、実際に「想定より高くついた」が33.0%(Sora Capital、2026年)。やめた理由の1位が「解体費用が高すぎた」26.3%(鎌倉新書、2024年)
  • 具体的に示すこと:墓じまいしない場合にかかる管理費も並べて比べる
  • 用意しておくもの:撤去・改葬先・お布施の見積もり、今の年間管理費

お寺との関係(お世話になったお寺に申し訳ない、離檀料が心配)

答え方:親族の方針が決まってから、相談の形でお寺に伝える

  • 調査で見えること:事前の不安でお寺・霊園とのやり取りが37.0%、実際に交渉が大変だったが25.0%(Sora Capital、2026年)。住職から反対されているという行政相談もある(総務省 東北管区行政評価局、2026年)
  • 具体的に示すこと:離檀料には明確な基準がないこと(国民生活センター)。金額は住職と話してから判断する
  • 用意しておくもの:お寺とのこれまでの付き合い(法要の頻度、護持会費など)のメモ

調査ごとに対象や人数が違います。また、この記事で使っている調査の多くは、墓じまい・お墓の関連事業者や業界団体によるものです(Sora Capital=墓じまい代行サービス「安心墓じまい」の運営会社、鎌倉新書=お墓の情報サイト「いいお墓」の運営会社、全国石製品協同組合=全国の石材会社と関連会社でつくる組合)。日本トレンドリサーチは40代以上の1,200人への調査(2022年4月)で、引用した声は自由回答の一部です。鎌倉新書の調査(2024年)は、「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人のうち、改葬・墓じまいを検討・実施した533人が対象です。

気持ちの反対には、まず「聞く」ことから

「ご先祖への思い」や「お参りの場所」を理由にした反対は、費用や手続きの説明では解消しにくいことがあります。相手がどこにこだわっているのかを先に聞くと、答え方の手がかりが見つかります。

「場所」が気になる人には改葬先選びに加わってもらい、「供養が途絶えること」が心配な人には永代供養の内容を一緒に見てもらう、といった方法があります。遺骨の行き先は墓じまい後の遺骨はどこへ?6つの行き先を比較で、永代供養の費用は永代供養の費用相場で比べています。

費用やお寺を理由にした反対には、墓じまいをせずに続けた場合の負担も並べて示します。これから誰が管理費を払い、誰がお参りや掃除に行けるか、次の代が引き継げるか。並べると、「するか、しないか」を比べやすくなります。

墓じまいの費用は誰が払う?分け方の考え方

この章のポイント

  • 民法897条に費用負担の定めはなく、家族で決める
  • 分け方は4通り。どれでも見積もりを全員で共有する
  • 立て替えと精算、増えたときの分け方を先に決める

民法897条には、墓じまいの費用を誰が負担するかの定めはありません。同条が定めているのは、お墓を誰が引き継ぐかです。この記事では、費用の分け方は家族の話し合いで決める前提で整理します。

費用の総額は、今のお墓を片付ける費用(撤去、閉眼供養のお布施、離檀する場合のお布施など)と、新しい納骨先の費用で決まります。鎌倉新書の「第3回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)」では、実施費用は「31万円~70万円」が24.2%で最も多い帯でした。内訳と相場は墓じまいの費用相場と内訳で詳しく見ていきます。

関西2府4県の111市のうち105市を2026年10月に調べたところ、墓じまいの費用そのものを補助する制度は見つかりませんでした。公営墓地を返すときの「使用料の還付」や「合葬墓の減額」がある市はあります(墓じまいの補助金は関西にある?)。

分け方の主な考え方

祭祀承継者がまとめて払う

  • 向いている家族:お墓を継ぐ人がはっきりしていて、ほかのきょうだいが関わりを望んでいない
  • 注意点:負担が一人に偏る。費用を出さない人が口だけ出す、という不満が出ることがある

きょうだいで均等に分ける

  • 向いている家族:きょうだいの関わりが同じくらいで、お参りも分担してきた
  • 注意点:収入や住んでいる場所の違いで、均等が「公平」と感じられないことがある

割合を変えて分ける(お参りの頻度、今後の関わり方などで)

  • 向いている家族:近くに住む人と遠方の人で、負担の感じ方が違う
  • 注意点:割合の根拠を言葉にして共有しないと、あとで蒸し返されることがある

親の預貯金から出す

  • 向いている家族:親が存命で、本人が墓じまいを望んでいる
  • 注意点:親の判断能力や、相続との関係を確認する必要がある

どの分け方でも、次の3つを先に決めておくと、精算のときにもめにくくなります。

  1. 見積もりを全員で共有する誰か一人だけが金額を知っている状態にしません。
  2. 誰が立て替えて、いつ、どう精算するかを決める立て替える人と精算の時期を、話し合いの場で決めます。
  3. 想定より費用が増えたときの分け方を決める離檀のお布施など、あとから金額がわかる費用もあるためです。増えた分の分け方も先に決めておきます。

税金・相続が関わるとき

親の預貯金を使う場合や、相続の手続きとあわせて精算する場合は、税金や相続の扱いが関わることがあります。最終的な判断は税理士・弁護士などに相談してください。

お寺にはいつ、どう伝える?離檀料はどう考える?

この章のポイント

  • お寺には、親族の方針がおおよそ固まってから伝えることをすすめる
  • 離檀料には明確な基準がない(国民生活センター)
  • 埋蔵証明書が出ないときは、改葬元の市区町村に相談

寺院墓地にお墓がある場合は、親族との話し合いとあわせて、お寺への伝え方も考えておきます。

伝える前に、親族の方針をそろえておく

この記事では、お寺には親族の方針がおおよそ固まってから伝えることをすすめます。意見が割れたまま相談すると、話がこじれることがあります。

総務省 東北管区行政評価局の「墓じまいに関する情報収集結果」(令和8年1月30日)には、墓じまいを考えているが墓地を管理する寺院の住職から反対されている、という行政相談があったことが書かれています。寺院によって墓じまいの費用が大きく異なり、一般に高額だという有識者の意見も紹介されています。

「報告」ではなく「相談」の形で

この記事では、一方的な「報告」ではなく、「相談」の形で切り出すことをすすめます。

伝える内容は、次の4つが中心です。

  • これまでのお礼
  • 墓じまいを考えるようになった理由
  • 遺骨の行き先の考え
  • 閉眼供養をお願いしたいかどうか

直接お寺を訪ねるか、まず電話や手紙で連絡するかは、これまでのお付き合いの仕方に合わせて選んでください。

離檀料は「明確な基準はない」

国民生活センターの「見守り新鮮情報」第424号(2022年6月28日。牛久市の掲載版で確認)は、離檀料を、檀家をやめるときに寺へのお礼として慣習的に支払うものと説明しています。そのうえで、「離檀料に明確な基準はなく、金額に納得がいかない場合は、基本的には寺などと話し合うことになります。」としています。

同じ号では、約300万円や700万円の離檀料を求められたという相談例も紹介されています。また、墓じまいは勝手にはできないとして、家族や親族などを交えてよく話し合うよう呼びかけています。

離檀料を払うかどうか、いくら払うかは、お寺との関係や取り決め、地域の慣習によって変わるため、この記事では「払わなくてよい」「払うべき」とは言い切りません。進め方としては、次の順が考えられます。

  1. 住職に事情を話す閉眼供養や離檀にあたって必要なことを尋ねます。
  2. 金額を示されたら、内訳を尋ねる何に対するお布施なのかを確かめます。
  3. 親族と共有する費用の分け方の中に入れます。
  4. 納得できない金額なら、すぐに結論を出さない消費者ホットライン「188」や、弁護士に相談します。

埋蔵証明書を出してもらえないときは?

改葬の手続きでは、今のお墓の管理者が作成する、埋葬等の事実を証する書面(埋蔵証明書)が必要です。

総務省 東北管区行政評価局の資料によると、管理者が証明を拒んだ場合について、昭和30年2月28日付けの環境衛生課長の回答(鳥取県衛生部長あて)があります。市町村は極力、管理者に埋蔵証明書を出すよう指導すべきで、なお拒んだ場合には「これに代わる立証の書面」で取り扱って差し支えない、とされています。

実際の扱いは、改葬元の市区町村に確認してください。申請書の書き方は改葬許可申請書の書き方、手続きの全体は墓じまいの進め方と手続きにまとめています。

お金や手続きでもめたときは

離檀料の金額や、埋蔵証明書をめぐってお寺と話がこじれたときは、ひとりで結論を出さず、消費者ホットライン「188」や改葬元の市区町村の窓口に相談できます。最終的な判断は弁護士などに相談してください。

話し合いの切り出し方:そのまま使える文例

この章のポイント

  • 「決まったこと」ではなく「考えていること」として伝える
  • 理由を先に話す
  • その場で結論を求めない

文例は、相手と場面に合わせて言葉を変えて使ってください。共通するのは、「決まったこと」ではなく「考えていること」として伝えることと、理由を先に話すことです。

親に切り出すとき

「この前お墓参りに行ったとき、これから先、誰がどうやってお墓を守っていくのか気になって。お父さん(お母さん)はどう考えている? まだ何も決めていないから、まず考えを聞かせてほしい。」

親自身の希望(どこに入りたいか、誰に任せたいか)を先に聞くと、「するか、しないか」の二択の話になりにくくなります。

きょうだいに相談するとき

「実家のお墓のことで相談したい。私たちの代で、管理やお参りを続けられるか考えておきたいと思っている。続ける場合とやめる場合で、それぞれどのくらいかかるか調べてみたから、一度一緒に見てほしい。」

おじ・おばなど、お参りに来ている親族に伝えるとき

「〇〇家のお墓のことで、きょうだいで話し合っていることがあります。遠方でお参りが難しくなってきたので、お墓を移すことを考えています。おじさん(おばさん)にも大事なお墓なので、決める前にお話ししておきたくて連絡しました。新しい場所でもお参りできるようにしたいので、ご意見を聞かせてください。」

お寺に相談するとき

「長いあいだ〇〇家のお墓をお守りいただき、ありがとうございます。家族と話し合ったのですが、遠方に住んでいてお参りや管理が難しくなり、お墓を移すことを考えています。進め方についてご相談したく、一度お時間をいただけないでしょうか。」

反対されたときは、どう返す?

相手の言葉返し方の例
「ご先祖に申し訳ない」「供養をやめるつもりはなくて、続けられる形に変えたいと思っている。移した先でも供養してもらえるところを探している。」
「お参りする場所がなくなる」「新しい場所は、みんなが行きやすいところにしたい。候補を一緒に見てもらえる?」
「お金はどうするの」「見積もりを取って、分け方の案をいくつか作った。続ける場合の管理費とも比べてみてほしい。」
「お寺に悪い」「お寺には、親族で話がまとまってから、相談の形でお願いに行くつもり。」

その場で結論を求めず、「今日は考えを聞かせてもらえてよかった。また相談させてほしい」と区切るのも一つの方法です。

話し合いの前と当日に使える確認リスト

この章のポイント

  • 前:名義人・祭祀承継者・費用の見積もりを確かめる
  • 当日:一人ひとりの考えと反対の理由を聞く
  • あと:決まったことを文章にして全員に送る

話し合いの前に確認すること

  • お墓の名義人(墓地使用者)が誰か、名義が亡くなった人のままになっていないか
  • 祭祀承継者が誰か(親の指定があるか、慣習でどうなっているか)
  • お墓に眠っている人の人数(過去帳や墓誌で確認)
  • 今の年間管理費・護持会費と、払っている人
  • 撤去や改葬先の費用の見積もり、遺骨の行き先の候補
  • 墓じまいを考える理由を、自分の言葉で一文にまとめたか

話し合いの場で確認すること

  • 参加すべき人がそろっているか(欠席した人に、あとで誰が伝えるか)
  • 一人ひとりの考えと、反対の理由(気持ち・費用・お寺)を聞いたか
  • 遺骨の行き先の方向性
  • 費用の分け方、立て替える人、精算の時期
  • お寺に誰が、いつ相談に行くか
  • 遺骨の一部を手元に残したい人がいるか(分骨・手元供養)
  • 次に話す日、または決める期限

話し合いのあとにすること

  • 決まったことと、決まっていないことを文章にまとめ、参加者全員に送る
  • 欠席した親族に、同じ内容を伝える
  • 意見が分かれたままの点を、誰が調べて、いつまでに持ち帰るか決める

文章にしておくと、あとで「言った・言わない」になりにくくなります。費用の分け方や立て替えの精算方法は、とくに書いておくと役に立ちます。

話がまとまらないときの相談先

困っていること相談先
誰がお墓を継ぐか(祭祀承継者)で意見が分かれる弁護士。民法897条では、慣習が明らかでないときは家庭裁判所が承継者を定める
離檀料などお金のトラブル消費者ホットライン「188」、弁護士
埋蔵証明書が出してもらえない改葬元の市区町村の窓口
親の預貯金の使い方、相続との関係税理士、弁護士、司法書士
進め方や書類の準備行政書士、墓じまい代行サービス

法律や税金が関わる判断は、個別の事情で変わります。最終的な判断は弁護士・税理士・司法書士などに相談してください。

よくある質問

Q1. 親が墓じまいに反対しています。亡くなってから進めるしかありませんか?

決まった答えはありません。親が今のお墓を継いでいる人(祭祀承継者や墓地の名義人)であれば、この記事では、まず親を話すべき相手と考えます。また、民法897条では、亡くなった人の「指定」が慣習より優先されるため、次に誰がお墓を継ぐかについても、親の意向が大きな意味を持ちます。

親が反対する理由が「子どもに負担をかけたくない」「自分が入る場所が心配」など、話せば解ける場合もあります。理由を聞き、親自身の希望を確かめるところから始めてください。

承継や指定の扱いについて、最終的な判断は弁護士などに相談してください。

Q2. 費用を出さないきょうだいにも、意見を聞く必要はありますか?

どこまで聞くかは家族によりますが、聞いておくほうが後のもめごとを避けやすくなります。費用を出さないことと、お墓への思いがないことは別です。

少なくとも、決める前に方針を伝え、意見を言う機会をつくっておくと、「知らないうちに決まっていた」という不満を防ぎやすくなります。

Q3. お寺に、親族より先に相談してもいいですか?

離檀料や閉眼供養の目安を知りたいなど、情報を集める目的で先に尋ねる方法もあります。その場合は「家族で検討している段階です」と伝えておくと、決定事項として受け取られにくくなります。

Q4. 話し合いで決めたことの書面に、法的な効力はありますか?

書面の内容や作り方によって扱いが変わるため、この記事では一概に言えません。費用の負担や精算の約束をはっきり残したい場合は、書き方も含めて、最終的な判断は弁護士などに相談してください。

Q5. 墓じまいをして後悔する人はどのくらいいますか?

墓じまい経験者100人の調査(Sora Capital、2026年)では、「やってよかった」60.0%と「どちらかといえば、やってよかった」24.0%を合わせて84.0%でした。「どちらかといえば、やらなければよかった」は1.0%です。

振り返って「もっとこうすればよかった」と思うことでは、「もっと早い時期に墓じまいをすればよかった」が36.0%で最も多くなっています。回答者が少なく、代行サービスの運営会社による調査である点は割り引いて見てください。

出典

執筆・編集:しまい支度編集部(編集方針)

最終確認日:2026年10月25日