※2026年10月時点の情報です。
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結論:墓じまいをしないと、お墓はどうなる?
墓じまいをしないからといって、お墓がすぐになくなるわけではありません。お墓がどうなるかは、主に次の2つで変わります。
- 管理料が払われているか:公営墓地には、管理料が決まった年数納められないとき、使用許可を取り消すことができると条例で定めている例があります(東京都・堺市の例)
- お墓を継ぐ人(承継者)がいるか:使用者が亡くなって決まった期間を過ぎても祭祀を承継する者がいないときを、使用許可を取り消す理由に挙げている市営霊園もあります(北九州市の例)
縁故者がいなくなったお墓(法令では「無縁墳墓」)の遺骨を移すには、官報と、お墓の見やすい場所に立てた立札で1年間、縁故者などに申し出るよう知らせる公告が要ります(墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第3条。流れは4章)。
お墓を「残す」なら、継ぐ人を決めて名義の手続きをし、管理料を払う人と霊園への連絡先を決めておきます。「しまう」なら、改葬の許可を受けて遺骨を移し、墓所を返します。どちらを選ぶ場合も、まず自分のお墓の使用規則(公営墓地なら条例)を確かめるところから始めます。
この記事の目次
墓じまいをしないと、お墓はすぐにどうにかなる?
この章のポイント
- 何が起きるかは、管理料と継ぐ人の有無で変わる
- 年数や手順は、霊園の条例・使用規則ごとに違う
- まず使用許可証と使用規則を手元で確かめる
「墓じまいをしないと、お墓を撤去されてしまうのでは」と心配になる方もいるかもしれません。実際には、何が起きるかは状況によって違います。
この記事で確かめた公営墓地の条例と、国が示した墓地の契約約款のひな形では、管理料が払われているかとお墓を継ぐ人がいるかの2つが分かれ目になっています。状況ごとに整理すると、次のようになります。
名義人(使用者)がいて、管理料も払われている
これまでどおり使い続けられる
- 東京都霊園条例・堺市霊園条例は、管理料の未納(東京都は五年間、堺市は3年間)を使用許可の取消しの理由の一つに挙げている。管理料が払われていれば、この理由には当たらない
- 名義人が高齢になったときに、次に誰が継ぐかを決めておくと、あとの手続きが進めやすい
名義人が亡くなり、継ぐ人が決まっていない
承継の手続きがないままだと、取消しや改葬の対象になりうる
- 北九州市の市営霊園:市の案内(霊園使用のきまり)では、「使用者が死亡した日から起算し、2年を経過しても祭祀を承継する者がいないとき。」を取消しの理由に挙げている
- 東京都の都立霊園:使用者が死亡し、その地位を承継する者がいないとき、知事が遺骨を別に定める場所に改葬する(第22条)
東京都と堺市の条例は、どちらも取消しが「できる」という定め方です。年数を過ぎた日に自動でお墓がなくなる、という書き方ではありません。総務省の調査報告書が引用している無縁改葬の主な流れ(厚生労働科学研究の報告書、平成27年)でも、取消しの前に、存命の使用者への管理料の請求や、縁故者への承継の指導、聴聞会が置かれています(4章で説明します)。
自分のお墓の決まりを確かめる
年数や手順は霊園ごとに違うため、この記事の例をそのまま自分のお墓に当てはめないでください。確かめる先は次のとおりです。
- 使用許可証(公営墓地)や契約書(民営霊園・寺院墓地)
- 使用規則。公営墓地なら、その自治体の霊園条例と規則
- 霊園の管理事務所、寺院
管理料を払わないと、どうなる?条例と契約の例
この章のポイント
- 公営墓地は条例で、取消しになる年数や理由を定めている
- 堺市・北九州市では、取消し後は区画を戻して返すと定めている
- 民営・寺院は契約や使用規則による
管理料の滞納でどうなるかは、霊園の使用規則や自治体の条例によって違います。ここでは、条文やページを確かめた3つの公営墓地と、国の契約約款のひな形を例に挙げます。
公営墓地の例:東京都・堺市・北九州市
東京都(都立霊園)/東京都霊園条例
管理料を「五年間納付しないとき」、許可を取り消すことなどができる(第21条)
- 管理料の上限(別表第三):一般埋蔵施設は1平方メートル・1年につき810円、芝生埋蔵施設・小型芝生埋蔵施設は1,040円。実際の額は規則で定める
- 許可が取り消されるなどして改葬する者がいないときは、知事が遺骨を別に定める場所に改葬する(第22条)
大阪府堺市(市営霊園)/堺市霊園条例
「墓地の使用者が3年間管理料を納めないとき」、使用許可を取り消すことができる(第15条)
- 管理料:1平方メートル・1年につき1,500円以内で市長が定める額(第21条)
- 取り消されたら、使用者は墓地を原状に回復して返還する。行わないときは市が行い、費用を義務者から徴収する(市長がやむを得ない事情があると認めたときは徴収しないことができる)
福岡県北九州市(市営霊園)/市のページ「霊園使用のきまり」
使用者の死亡から2年たっても祭祀を承継する者がいないときなど、6つの取消しの理由を挙げている
- ほかに「使用者が住所不明となって3年を経過したとき。」なども理由に挙がっている
- 取り消された使用者は、使用区画を更地にして市に返還する。行わなければ市が行い、その費用を義務者から徴収する
3つを並べると、同じ公営墓地でも、何年で、どんな理由で取消しの対象になるかが違うことがわかります。自分のお墓がある自治体の条例は、その自治体の例規集(条例や規則を載せたページ)や霊園の案内で確かめられます。

民営霊園・寺院墓地は?
民営霊園や寺院墓地では、霊園や寺院が定めた使用規則や、使用者と結んだ契約によって決まります。参考になるのが、厚生省(当時)が平成12年に「墓地経営・管理の指針」とあわせて示した「墓地使用に関する標準契約約款」です。
国のひな形(標準契約約款)の第9条・第10条の内容
このひな形の第9条第2項は、使用者が「○年間管理料を支払わなかった場合」などに、経営者は相当の期間を定めて支払いを催告し、それでも支払いがないときに、書面で契約を解除できるとしています。年数は「○」の空欄で、解説には「管理料の不払いの期間が何年でなければならないかは、一概に決めることは難しいが、1年では短すぎると思われる。」とあります。
契約が終わったあとの扱いも、第10条に例があります。使用者だった人やその祭祀承継者が墓石を撤去し、遺骨を引き取ります。それが行われないまま契約の終了から一定の年数(ひな形では空欄)がたつと、経営者は墓石を墓地内の決まった場所に移し、法令の改葬手続を経て、遺骨を墓地内の合葬墓または納骨堂に移すことができ、実費を請求できる、という内容です。
ひな形なので、実際の年数や手順は、それぞれの霊園・寺院の使用規則や契約書で確かめます。
管理料の支払いが難しいとき
支払いが難しい事情があるときは、未納のままにせず、早めに霊園の管理事務所や寺院に相談してください。使用許可の取消しや契約の解除をめぐって争いになった場合の判断は、最終的には弁護士などに相談してください。
「無縁墳墓(無縁墓)」とは?どんなお墓が当たる?
この章のポイント
- 法令の定義は「縁故者がない墳墓又は納骨堂」
- 管理料の滞納だけで、直ちに無縁とは判断されない
- 765市町村の58.2%が、無縁墳墓等ありと回答(疑いを含む)
「無縁墓」「無縁仏」は日常の言葉です。法令では「無縁墳墓」という言葉が使われ、墓地、埋葬等に関する法律施行規則(以下、施行規則)第3条で、次のように定められています(条文の一部)。
死亡者の縁故者(死産の場合は、死児の縁故者。以下同じ。)がない墳墓又は納骨堂(以下「無縁墳墓等」という。)
つまり、亡くなった方の縁故者がいないお墓や納骨堂のことです。お参りが少ない、管理料が遅れている、といった事情だけを指す言葉ではありません。
管理料を払っていないだけで「無縁」になる?
総務省行政評価局の「墓地行政に関する調査-公営墓地における無縁墳墓を中心として-」(令和5年9月)は、実地調査した市町村が「縁故者がない」と判断するときの目安を紹介しています。たとえば次のようなものです。
- 管理料の滞納が3年程度で、住民基本台帳や戸籍の公用請求などで調べても縁故者が分からない場合(秋田県大仙市)。兵庫県神戸市は、管理料の滞納が10年程度で、縁故者調査をしても見つからない場合を目安にしている
- 使用者が亡くなって5年以内に、相続人・親族・縁故者から承継の申し出がない場合(福島県白河市)
- 承継する意思のある縁故者がいない場合(青森県三沢市)
- 連絡を求める白札を1年以上掲示し、管理者の見回りでも墓参の形跡がなく、申し出もない場合(石川県小松市)
- 5年連絡がなく、墓参の形跡もない場合(奈良県御所市)
目安に当たっても、すぐ無縁とはされない
同じ報告書は、この目安について「「判断の目安」に該当したことのみをもって、直ちに無縁墳墓等と判断されるものではない。」と注記しています。管理料の滞納を目安に使う場合も、報告書の例では、その年数は3年程度から10年程度まで開きがあります。
無縁墳墓は、どのくらいある?
同じ調査では、公営墓地・納骨堂を持つと回答した765市町村のうち、無縁墳墓等が1区画以上ある(疑いのあるものを含む)と答えたのは58.2%(445市町村)でした。
一方で、実地調査した88市町村のうち、墓地の使用許可や承継の申請のときに、承継の候補となる縁故者の住所や電話番号まで書いてもらっているのは9市町村(10.2%)でした。報告書の概要には、約1万区画の確認に約10年を要した例も挙げられています。
使用者が亡くなったあとに家族の側から連絡がないと、霊園が親族にたどり着くまでに時間がかかることがある、ということです。お墓を残す場合の準備は5章でまとめています。

無縁墳墓とされたら、遺骨と墓石はどうなる?
この章のポイント
- 官報と立札で1年間、縁故者に申し出を求める
- 申し出がなければ、市町村長の改葬許可を受けて移す
- 調べた市町村では、遺骨の移し先は合葬式施設が最多
お墓の遺骨を別のお墓や納骨堂へ移すこと(改葬)には、遺骨のある場所の市町村長の許可が要ります(墓地、埋葬等に関する法律 第5条)。
無縁墳墓の遺骨を移すときは、通常の改葬許可の申請書に添える書類のうち、墓地の管理者が作る埋葬などの事実の証明書に加えて、施行規則第3条が定める次の書類を添えます。
施行規則第3条で求められる書類
- 無縁墳墓等の写真と位置図
- 死亡者の本籍・氏名と、墓地使用者・縁故者・お墓に権利を持つ人に「一年以内に申し出るべき旨」を公告し、その期間中に申し出がなかったことを書いた書面
- 公告を載せた官報の写し(電子版の官報を書面にしたものなど)と、立札の写真
- そのほか市町村長が特に必要と認める書類
公告の方法(施行規則第3条の条文)
2つ目の公告の方法は、条文では次のとおりです(条文の一部)。
官報に掲載し、かつ、無縁墳墓等の見やすい場所に設置された立札に一年間掲示して、公告し、その期間中にその申出がなかつた旨を記載した書面
官報と、お墓の見やすい場所の立札で1年間公告され、その間に縁故者などが申し出る機会がある、というのが法令の仕組みです。お墓に立札があるのを見つけたら、書かれている内容を確かめ、霊園の管理者や墓地のある市区町村に問い合わせてください。

無縁改葬は、どんな順で進む?
総務省の報告書は、厚生労働科学研究の報告書「墓地埋葬行政をめぐる社会環境の変化等への対応の在り方に関する研究」(平成27年3月)が示した無縁改葬の主な流れとして、次の12段階を紹介しています。実際の手順は、自治体や墓地によって異なります。
無縁改葬の主な流れ(12段階)を見る
- 対象者の決定、調査整理簿等の作成
- 現地調査
- 立札の設置・掲示、官報への掲載
- 在籍調査
- 存命使用者への管理料の請求
- 縁故者への承継指導
- 取消対象者名簿の作成
- 聴聞会の資料作成と関係者(名宛人:使用者・縁故者)への通知
- 聴聞会
- 使用許可の取消し
- 無縁改葬手続
- 改葬工事
この流れでは、使用許可を取り消す前に、使用者や縁故者に連絡し、承継を促す段階があります。報告書は、無縁改葬には時間・労力・費用がかかるとしています。

移された遺骨と墓石は、どうなる?
報告書によると、実地調査した88市町村のうち、無縁墳墓を解消するための手続きを確認できた42市町村では、「合葬式施設への改葬が50.0%(21/42市町村)で最も多かった」とされています。合葬式施設に移す前に、納骨堂で一時保管する例もありました。
墓石は、同じ42市町村から墓石のない納骨堂だけを持つ1市町村を除いた41市町村のうち、「即時処分」が19.5%(8市町村)でした。ほかに、永年保管している例や、一時保管したあとに処分している例もあります。民法の所有権の取得時効(第162条第1項)に基づいて、保管期間を20年とする例も紹介されています。
寺院や民営の墓地でも、同じ手続き?
施行規則第3条は、無縁墳墓等の改葬許可の申請に添える書類を定めた条文で、公営・寺院・民営といった墓地の経営主体で分けてはいません。
総務省の報告書は、平成26年の高松高等裁判所の判決にもふれています。宗教法人が行った改葬について、「本件改葬行為直前にも複数回にわたって墓参の形跡があった」ことなどを理由に、調査義務を尽くさなかった宗教法人側の過失を指摘した判決です。
立札や通知に気づいたら
立札や霊園からの通知に気づいたら、まず霊園の管理者や寺院に連絡し、名義や管理料の状況を確かめてください。改葬や権利をめぐって争いになっている場合は、最終的な判断は弁護士などに相談してください。
お墓を「残す」なら、何をしておく?
この章のポイント
- 継ぐ人を決め、名義の承継の手続きをする
- 管理料を払う人と払い方を決める
- 霊園に、使用者以外の連絡先を伝えておく
お墓を残すことも、墓じまいと同じように選べる道です。残すと決めたら、次の5つを家族で決めておくと、1章で見た取消しの理由に当たる状態を避けやすくなります。

1. 継ぐ人を決めて、名義の手続きをする
公営墓地では、お墓を継げる人と手続きを条例で定めています。
東京都(東京都霊園条例 第19条)
- 使用者が亡くなった場合などに、使用者の地位を承継できる。埋蔵施設などを承継する人は「祖先の祭祀を主宰する者でなければならない」とし、遅滞なく申請して知事の許可を受ける
堺市(堺市霊園条例 第12条)
- 慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する場合などのほかは承継できず、届け出て市長の承認を得る
民営霊園・寺院墓地のひな形(標準契約約款 第7条)
- 使用者の祭祀承継者が、地位承継届出書に住民票の写しを添えて届け出る
誰がお墓を継ぐか(祭祀承継者)は、民法897条で決まり方が定められています。条文の読み方と、親族での話し合いの進め方は墓じまいで親族ともめない切り出し方で解説しています。誰が継ぐかで意見が分かれるときの最終的な判断は、弁護士などに相談してください。
2. 管理料を誰が、どう払うかを決める
管理料の額は霊園ごとに違います。条例で上限を見ると、東京都の一般埋蔵施設は1平方メートル・1年につき810円、堺市は1平方メートル・1年につき1,500円以内です。区画が広いほど、年額は大きくなります。
名義人と、実際に払う人が違う場合は、請求書の届け先や引き落としの口座を霊園と確かめておきます。まとめて納める方法があるかどうかも、霊園に尋ねてください。

3. 霊園に、使用者以外の連絡先を伝えておく
総務省の報告書にある取り組みの例
総務省の報告書では、使用者以外の連絡先を把握する取り組みが紹介されています。
- 愛知県半田市:墓地の使用許可や承継の申請書の様式を変え、使用者以外の連絡先(氏名、住所、続柄及び電話番号)の記載欄を新たに設けた
- 青森県三沢市:すべての使用者に代理人の選任を求め、代理人の本籍・氏名・住所・電話番号と申請者との関係を把握することにした
- 新潟県津南町:使用者の情報に変更があった場合などの届出を求めている
こうした欄や制度がない霊園でも、住所が変わったときや名義人が亡くなったときに届け出ておくと、連絡がつかないまま手続きが進むことを避けやすくなります。
4. お参りと掃除の分担を決める
遠方に住んでいる場合は、誰が、年に何回くらい行けるかを書き出しておきます。お彼岸やお盆など、行く時期を家族で分けておく方法もあります。
5. 次に見直す時期を決めておく
名義人が高齢になったとき、次に継ぐ人がいるかの見通しが変わったときなど、「残す」を続けるかを見直す時期を、あらかじめ決めておきます。その時点で「しまう」を選ぶこともできます。
お墓を「しまう」なら、何から始める?
この章のポイント
- 遺骨を移すには、市町村長の改葬許可が要る
- 公営墓地は、返すときのきまりと還付を確かめる
- 流れ・費用・行き先は、それぞれの記事で
墓じまいは、遺骨を新しい納骨先に移し(改葬)、墓所を返すことです。改葬には、遺骨のある場所の市町村長の許可が要ります(墓地、埋葬等に関する法律 第5条)。申請書には、今の墓地の管理者が作る、埋葬や埋蔵の事実を証明する書面などを添えます(施行規則第2条)。
大まかな順番は次のとおりです。
- 家族・親族で方針を決める誰が進め、費用をどう分けるかを話し合います(墓じまいで親族ともめない切り出し方)。
- 遺骨の行き先を決める樹木葬・納骨堂・合祀などを比べます(墓じまい後の遺骨はどこへ?6つの行き先を比較)。
- 費用の見積もりをとる撤去や閉眼供養などの費用を確かめます(墓じまいの費用相場と内訳)。
- 改葬許可を申請するお墓のある市区町村に申請します(改葬許可申請書の書き方)。
- 遺骨を取り出し、墓所を返す全体の流れは墓じまいの進め方と手続きにまとめています。
公営墓地を返すときに確かめること
- 返し方:堺市霊園条例 第14条は、墓地が不要になったら直ちに届け出て、原状に回復して返還するとしています。市長が原状回復の必要がないと認めるときは、そのままの状態で返還を受けることもできます
- 払ったお金が戻るか:東京都霊園条例 第15条は、既納の使用料・管理料は還付しないとしつつ、知事が相当の理由があると認めるときは全部または一部を還付できるとしています
- 同じ自治体の合葬墓に移す場合:総務省の報告書(令和5年)では、愛媛県新居浜市が、市営墓地の区画を返還して引き続き合葬式施設を使う場合に、施設の使用料を全額免除する制度を条例で定めている例が紹介されています
関西2府4県の111市のうち105市を2026年10月に調べたところ、墓じまいの費用そのものを補助する制度は見つかりませんでした。あるのは、公営墓地の「使用料の還付」と「合葬墓の減額」です。市ごとの内容は墓じまいの補助金は関西にある?で一覧にしています。
費用の用意が難しいときは?
手元にまとまったお金がないときは、次の順に確かめてください。考え方は墓じまいの費用相場と内訳の「手元にまとまったお金がないときは?」でも扱っています。
- 公営墓地なら、還付・減額が使えるか確かめる還付は、まだ使っていない墓地や、許可から3〜5年以内の返還に限る市もあり、長く使ってきたお墓を返す場合に戻るのは一部の市だけです。対象と条件は墓じまいの補助金は関西にある?でまとめています。
- 移す先を見直して、総額を比べる総額の差が最も大きく出るのは納骨先です。公営の合葬式の施設なら1体数万円で済む場合があります。ただし合祀・合葬は、後から遺骨を取り出せない施設がほとんどです(墓じまい後の遺骨はどこへ?)。
- きょうだい・親族での分担を話し合う誰が払うかを決めた法律はなく、分け方は家族の話し合いで決めます(墓じまいで親族ともめない切り出し方)。
- すぐに用意できないときは、残して見直す時期を決めるいったん残して、名義と連絡先の手続きを済ませておく方法もあります(次の章)。管理料の支払いが難しい場合は、未納のままにせず、霊園の管理事務所や寺院に相談してください(2章)。
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墓じまいの代行を案内するサービス『お墓のミキワ』(株式会社サンテレーヴ)のページで、資料請求もできます。費用や対応地域は公式サイトで確かめてください。
お墓のミキワの墓じまいサービス 永代供養墓紹介残すか、しまうか。何を材料に決める?
この章のポイント
- 継ぐ人・払う人・通う人の3つで考える
- 残す場合も、しまう場合も、決めることがある
- 決めきれないときは、見直す時期を決める
残すか、しまうかに、どちらが正しいという答えはありません。どちらを選んでも、決めておくことがあります。並べると次のとおりです。
お墓を残す
毎年、管理料がかかる(額は霊園ごと)
- 必要な人:お墓を継ぐ人(名義人)と、管理料を払う人
- 必要な手続き:名義の承継の手続き、連絡先の届出
- 考えやすい状況:継ぐ人と、お参りに通う人の見通しがある
お墓をしまう
撤去や新しい納骨先などの費用が、まとまってかかる
- 必要な人:手続きを進める人と、費用を分担する人
- 必要な手続き:改葬許可の申請、墓所の返還
- 考えやすい状況:次に継ぐ人の見通しがない、遠方で通い続けるのが難しい
費用の内訳は墓じまいの費用相場と内訳で解説しています。
家族で話すときは、次の項目を順に確かめていくと、判断の材料がそろいます。
- 今の名義人(使用者)は誰か。存命か
- 次に継ぐ人は決まっているか。その人に引き受ける意思があるか
- 管理料は年にいくらで、誰が払っているか。未納はないか
- 使用規則や条例で、未納や継ぐ人がいないときの扱いはどう決まっているか
- お参りや掃除に、誰が、どのくらい通えるか
- その次の世代(子・孫)に、継ぐ人の見通しはあるか
- しまう場合、遺骨の行き先の候補と、費用の分け方の案があるか
今の時点で決めきれないときは、いったん残して、名義と連絡先の手続きを済ませ、見直す時期を決めておく方法もあります。残す期間にやっておくことが、そのまま、あとでしまうときの準備にもなります。

どこに確かめ、誰に相談する?
| 確かめたいこと・困っていること | 確かめる先・相談先 |
|---|---|
| 使用規則、管理料の額、未納のときの扱い | 霊園の管理事務所、寺院(公営墓地は、霊園を所管する自治体の担当課) |
| 名義の承継の手続き | 霊園の管理事務所、寺院 |
| お墓に立札が立っている、霊園から通知が届いた | 霊園の管理者、墓地のある市区町村 |
| 改葬許可の申請 | 遺骨のある場所の市区町村の窓口 |
| 誰が継ぐかで意見が分かれる、取消しや契約解除をめぐる争い | 弁護士 |
| 墓じまいの進め方や書類の準備 | 行政書士、墓じまい代行サービス |
お墓を継ぐ人や、使用の権利に関わる判断は、個別の事情で変わります。最終的な判断は弁護士などに相談してください。
よくある質問
Q1. 最初に「永代使用料」を払っていれば、管理料を払わなくてもお墓は残りますか?
そうとは限りません。東京都霊園条例は、使用料(第12条)と管理料(第13条)を別に定め、管理料を五年間納付しないことを許可の取消しなどの理由に挙げています。国の標準契約約款のひな形も、使用料と管理料を分けています。
自分のお墓で何を払う必要があるかは、使用許可証や契約書、使用規則で確かめてください。
Q2. 名義人だった親が亡くなりましたが、名義の手続きをしていません。どうなりますか?
霊園の決まりによります。東京都霊園条例は、地位を承継しようとする人は遅滞なく申請して許可を受けるとしています。北九州市の案内(霊園使用のきまり)では、使用者の死亡から2年を過ぎても祭祀を承継する者がいないときを、使用許可の取消しの理由に挙げています。
まず霊園の管理事務所や寺院に、必要な書類を問い合わせてください。誰が継ぐかで意見が分かれる場合の最終的な判断は、弁護士などに相談してください。
Q3. 遠方でお参りや掃除に行けていません。それだけで無縁墓になりますか?
施行規則第3条の無縁墳墓は「縁故者がない」お墓のことで、お参りに行けていないこと自体は定義に含まれていません。
ただし、総務省の報告書では、連絡がなく墓参の形跡もない状態が5年続くことを、縁故者がないと判断する目安の一つにしている市の例があります。管理料の支払いと、霊園に届けている連絡先を確かめておくと安心です。
Q4. 立札の公告期間中に申し出れば、お墓はどうなりますか?
施行規則第3条は、無縁墳墓等の改葬許可の申請に、公告の期間中に申し出がなかったことを書いた書面を添えるよう求めています。申し出たあとの扱い(名義の承継や、管理料の精算など)は霊園の決まりによるため、霊園の管理者に確かめてください。
出典
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条・第3条|e-Gov法令検索(令和8年厚生労働省令第85号による改正後の現行版。e-Gov法令API(https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=323M40000100024;article=3)で条文を確認、確認日:2026-10-27)
- 墓地、埋葬等に関する法律 第2条・第5条|e-Gov法令検索(e-Gov法令API(https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=323AC0000000048;article=5)で条文を確認、確認日:2026-10-27)
- 民法 第162条・第897条|e-Gov法令検索(e-Gov法令API(https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawNum=明治二十九年法律第八十九号;article=897)で条文を確認、確認日:2026-10-27)
- 墓地行政に関する調査-公営墓地における無縁墳墓を中心として-<結果に基づく通知>|総務省(令和5年9月13日、確認日:2026-10-27)
- 墓地行政に関する調査 概要|総務省(PDF)(確認日:2026-10-27)
- 墓地行政に関する調査 第2 調査結果 2 公営墓地・納骨堂における無縁墳墓等の現状と課題|総務省(PDF)(確認日:2026-10-27)
- 墓地経営・管理の指針等について(別添2 墓地使用に関する標準契約約款)|厚生労働省(平成12年12月6日、確認日:2026-10-27)
- 東京都霊園条例|東京都例規集(令和8年条例第52号による改正後、確認日:2026-10-27)
- 堺市霊園条例|堺市例規集(令和6年10月1日現在の内容、確認日:2026-10-27)
- 霊園使用のきまり|北九州市(2025年10月29日更新、確認日:2026-10-27)