※2026年10月時点の情報です。
家を取り壊したあとに残る手続きの一つが、建物滅失登記です。この記事では、必要な書類を「法令で決まっているもの」と「法務局が記載例やチェックリストで求めているもの」に分け、自分で申請する手順と費用を、条文と法務局の資料で確かめて整理します。
結論:建物滅失登記は、だれが・何を・いつまでに?
- いつまでに:建物を取り壊したら、登記記録の所有者(表題部所有者または所有権の登記名義人)が、滅失の日から1か月以内に申請します(不動産登記法第57条)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です(第164条第1項)。
- 主な書類:申請書と、解体業者の建物滅失証明書(法務局の記載例)。名義人が亡くなっていれば、相続人の1人から申請でき、戸籍などを添えます(長崎・佐賀の地方法務局のチェックリスト)。
- 自分でできる?:法務局が申請書の様式と記載例を公開し、窓口・郵送のほか、所有者本人ならマイナンバーカードでのオンライン申請も案内しています。
- 費用:滅失の登記は、登録免許税法の別表第一(課税される登記の一覧)に掲げられていません。登記事項証明書を取るなら1通600円(書面請求)。土地家屋調査士に頼む場合の報酬は事務所ごとに決まります。
- 登記されていない家:滅失の登記の申請はできません。市区町村の資産税の窓口で、取り壊したことを伝える手続きを確かめます。
この記事の目次
建物滅失登記とは?だれが、いつまでに申請する?
この章のポイント
- 建物がなくなったことを登記記録に反映する手続き
- 申請するのは登記記録の所有者。亡くなっていれば相続人
- 期限は滅失の日から1か月以内
建物がなくなったことを、登記記録に反映する手続き
建物の登記記録には、所在・家屋番号・種類・構造・床面積といった建物の表示が記録されています。建物を取り壊したり、建物がなくなったりしたときに、そのことを登記記録に反映するのが建物の滅失の登記です。不動産登記法では「建物の表示に関する登記」の一つとして定められています(第4章第2節第3款)。
不動産登記法第57条は、次のように定めています。
「建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。」
申請するのは、登記記録の所有者(亡くなっていれば相続人)
申請するのは、登記記録の表題部所有者または所有権の登記名義人です。法務局の記載例では、登記記録の甲区に記録された現在の所有者を、甲区がなければ表題部の所有者を、申請人として書きます。
表題部所有者や登記名義人が亡くなっている場合は、相続人が表示に関する登記を申請できます(第30条)。くわしくは「親名義のまま取り壊した家は、だれが申請する?」の章で説明します。
期限は「滅失の日から一月以内」
期限は、建物がなくなった日から1か月以内です(第57条)。法務局の記載例では、申請書の「登記原因及びその日付」に「取壊し」と、解体業者の証明書に書かれた取壊しの日を書きます。
解体工事を頼むときは、工事が終わったら建物滅失証明書をすぐ受け取れるかを、業者と確かめておくと期限に間に合わせやすくなります。解体の前後に持ち主がするほかの届出は、家の解体費用はいくら?(解体の前後に、持ち主がする手続き)で整理しています。

必要書類は?法令で決まっているものと、法務局が求めているもの
この章のポイント
- 法令が決める添付情報は、代理・相続・法人の場合
- 建物滅失証明書は、法務局の記載例が添付を求めている
- 出どころの違う書類を同じ一覧に混ぜない
法令で決まっている添付情報(不動産登記令第7条第1項)
登記の申請に添える書類(添付情報)は、不動産登記令で決まっています。建物の滅失の登記で関係するのは、次の場合です。
代理人に申請を頼むとき
代理人の権限を証する情報(委任状)
不動産登記令第7条第1項第2号
相続人が申請するとき(不動産登記法第30条)
相続があったことを証する公務員作成の情報(戸籍など)
同項第4号。条文は「相続その他の一般承継があったことを証する市町村長…、登記官その他の公務員が職務上作成した情報」
申請人が法人のとき
会社法人等番号(番号がない法人は、代表者の資格を証する情報)
同項第1号
不動産登記令の別表は、登記の種類ごとに追加の添付情報を定めています。ただし、別表で建物の滅失の登記を挙げているのは、共用部分である旨の登記または団地共用部分である旨の登記がある建物の項だけです。ふつうの一戸建ての滅失の登記について、別表に項はありません。
法務局が記載例・チェックリストで求めている書類
実際の申請で用意する書類は、法務局が公開している記載例とチェックリストで確かめます。法務局のウェブサイトの「不動産登記の申請書様式について」にある記載例と、長崎地方法務局・佐賀地方法務局のウェブサイトに載っているチェックリストでは、次の書類が挙がっています。
建物滅失証明書
解体業者(工事請負人)が発行
記載例の注1は「工事請負人から交付された場合には、当該証明書を添付してください。」。佐賀地方法務局のチェックリストは「建物を取り壊した業者からの証明書が必要です。」としています
業者の印鑑証明書・代表者の資格証明書
業者が会社なら、会社法人等番号を書けば省略できる
長崎地方法務局のチェックリストは「証明書には取り壊した業者(個人の場合は個人の)印鑑証明書の添付が必要です。」としています。記載例の注1では、印鑑証明書の省略は「(現在登記所に印鑑を登録している場合に限ります。)」
住民票の写し・戸籍の附票の写しなど
申請人の住所や氏名が登記記録と違うとき
記載例の注3、長崎・佐賀地方法務局のチェックリスト
戸籍など・相続人の住民票または戸籍の附票
登記記録の所有者が亡くなっているとき
長崎地方法務局のチェックリスト(次の章でくわしく)
委任状
代理人に頼むとき
長崎・佐賀地方法務局のチェックリストは、委任した日付の記載も確かめるよう求めています
返信用封筒と書留郵便の郵便切手
登記完了証や返してもらう書類を郵送で受け取るとき
法務局「不動産登記の申請書様式について」
書類の一覧を見るときの注意
建物滅失証明書は、法令の別表には書かれていませんが、法務局の記載例やチェックリストが添付を求めている書類です。「法律で決まっていないから要らない」という意味ではありません。
チェックリストは長崎・佐賀の地方法務局のウェブサイトに載っているもので、ほかの法務局でも同じ扱いかは、管轄の法務局で確かめてください。

建物滅失証明書は、解体業者に頼んでおく
法務局の記載例の2ページ目には、建物滅失証明書の例があります。項目は、建物の表示、滅失の理由(取壊しとその日)、所有者で、最後に「上記のとおり建物を取り壊したことを証明します。」とあり、工事請負人が記名押印します。
長崎地方法務局のチェックリストは、申請書の建物の表示を登記事項証明書の記載と一致させるよう求めています。解体の契約のときに、建物滅失証明書と印鑑証明書(業者が会社なら会社法人等番号)を出してもらえるかを確かめておくと安心です。
原本を返してほしいときは「原本還付」
書面で申請した人は、添付した書類の原本を返すよう請求できます。その場合は、原本と相違ない旨を書いた写しを一緒に出します(不動産登記規則第55条第1項・第2項)。
長崎地方法務局のチェックリストでは、写しに「原本に相違ありません。」と書き、申請人(または代理人)の名前を書いて押印し、原本と一緒に出す形が示されています。その申請のためだけに作った委任状などは、原本還付の対象外です(同条第1項ただし書)。
自分で申請するには?申請書の書き方と出し方
この章のポイント
- 法務局が様式と記載例を公開している
- 窓口・郵送のほか、所有者本人はオンラインも
- 書き方の相談は管轄の法務局の手続案内へ
申請までの流れ
- 管轄の法務局を調べる建物があった場所を担当する法務局(登記所)を、法務局の「管轄のご案内」で調べます。
- 登記記録を確かめる登記事項証明書などで、建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積と、所有者の住所・氏名を確かめます。
- 解体業者から証明書を受け取る建物滅失証明書と、業者の印鑑証明書(会社なら会社法人等番号)を受け取ります。
- 申請書を作る法務局の様式と記載例を見て書きます。
- 提出する窓口に持っていくか、書留郵便で送ります。所有者本人ならオンラインでも申請できます。
- 補正の連絡に応じる書類に直すところがあると、申請書に書いた連絡先電話番号に法務局から連絡があります。
申請書の書き方(法務局の記載例のとおり)
申請書の様式(一太郎・Word・PDF)と記載例は、法務局「不動産登記の申請書様式について」の「建物滅失登記申請書」にあります。記載例の主な欄は次のとおりです。
| 欄 | 書くこと(法務局の記載例) |
|---|---|
| 登記の目的 | 建物滅失 |
| 添付情報 | 建物滅失証明書など、添付する書類の名前(業者が会社なら会社法人等番号も) |
| 申請日・提出先 | 申請書を出す日と、管轄の法務局名 |
| 申請人 | 登記記録の現在の所有者の住所・氏名。氏名の末尾に押す印は認印でよいとされています |
| 連絡先の電話番号 | 平日の日中に連絡がつく番号。携帯電話の番号でもよいとされています |
| 不動産番号 | 書いた場合は、所在・家屋番号・種類・構造・床面積の記載を省略できます |
| 建物の表示 | 所在・家屋番号・種類・構造・床面積を、登記記録のとおりに書きます |
| 登記原因及びその日付 | 「取壊し」と、建物滅失証明書に書かれた取壊しの日 |
記載例の注3は「氏名(法人の場合は代表者の氏名)の末尾に認印を押してください。」としています。申請書が2枚以上になるときは、注書きで「各用紙のつづりに必ず契印をしてください」とされています。
法務局の案内ページは、申請書はA4の用紙を使い、ほかの添付情報と一緒に左とじにすること、「鉛筆は使用できません。」ことを注意しています。
郵送で出すとき
法務局の案内ページは、郵送する場合は「申請書を入れた封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載の上、書留郵便により送付してください。」としています。登記完了証や返してほしい書類があるときは、宛名を書いた返信用封筒と、書留郵便の郵便切手を同封します。
長崎地方法務局のチェックリストでは、「返送は書留郵便(簡易書留・レターパックプラス600を含む)でのみ可能です。」とされています。
オンラインで出すとき(所有者本人の場合)
法務局のページ「建物を取り壊した(建物滅失の登記をオンライン申請したい方)」は、所有者(個人)が建物滅失の登記をする場合に、マイナンバーカードを使って「申請用総合ソフト」からオンラインで申請する方法を案内しています。ICカードリーダライタが必要です。
建物滅失証明書などの書面は、オンライン申請の受付日から2日以内(初日や休日などを除く)に、法務局へ持っていくか書留郵便などで送ります。マイナンバーカードがない場合は、書面で申請するよう案内されています。

書き方がわからないときは、法務局の手続案内へ
法務局の案内ページは、申請書類の作成で不明な点は「管轄の法務局又は地方法務局に御相談ください。」としています。
大阪法務局の案内では、登記手続案内は完全予約制で、「1回のご利用は20分以内です。」とされています。利用できるのは「申請人本人(親族・従業員)のご利用に限ります。」とされ、様式や添付書類の種類は説明しますが、「書類は別途ご自身で作成願います。」としています。予約の方法や時間はほかの法務局で異なる場合があるため、管轄の法務局で確かめてください。
親名義のまま取り壊した家は、だれが申請する?
この章のポイント
- 相続人の1人から申請できる(長崎・佐賀の資料)
- 死亡と相続がわかる戸籍など、申請人の住民票を添える
- 建物がなくなっても、土地の相続登記の義務は残る
相続人の1人から申請できる
不動産登記法第30条は、次のように定めています。
「表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。」
長崎地方法務局のチェックリストは「所有者が死亡している場合は、相続人の1人からの登記申請が可能です。」としています。佐賀地方法務局のチェックリストにも同じ文があります。
相続人が申請するときに添える書類
長崎地方法務局のチェックリストでは、所有者が亡くなっている場合に、次の書類を挙げています。
- 所有者が亡くなったことがわかる戸籍
- 申請人が相続人であることがわかる戸籍
- 登記記録の住所と本籍のつながりがわかる戸籍の附票など
- 相続人(申請人)の住民票または戸籍の附票(「相続人(申請人)の住民票又は戸籍の附票も必要です。」)
不動産登記規則第37条の3は、相続人が登記を申請する場合に、法定相続情報一覧図の写しなどを、相続があったことを証する公務員作成の情報の代わりに出せると定めています。手元に一覧図の写しがあるときは、使えるかを管轄の法務局で確かめてください。
法務局のオンライン申請のページは「所有者(個人の方)」が申請する場合を案内しており、相続人が申請する場合の説明はありません。相続人が申請するときは、書面での申請を前提に、管轄の法務局で確かめると確実です。

ほかの相続人や共有者との関係
法務局の資料で確かめられたのは、相続人の1人から滅失の登記を申請できる、ということです。きょうだいで家を共有している場合に、解体そのものにほかの共有者の同意が要るかは別の問題です。民法の定めは家の解体費用はいくら?(相続した家を解体する前に)で紹介しています。
建物がなくなっても、土地の相続登記は残る
2024年4月1日から、相続で不動産を取得した人は、相続の開始と取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました(不動産登記法第76条の2)。法務省は、それより前に開始した相続も対象で、その場合の期限は原則2027年3月31日までと案内しています。
建物の滅失の登記をしても、土地の相続登記の義務は別に残ります。相続登記の進め方は実家じまいは何から始める?で解説しています。
相続人が複数いる、登記の名義が古いなど、判断に迷う場合の最終的な判断は、土地家屋調査士・司法書士などに相談してください。
費用はいくらかかる?
この章のポイント
- 滅失の登記は、登録免許税法の別表第一にない
- 自分で申請するなら、証明書代や郵送料などの実費
- 調査士に頼む報酬は事務所ごと。全国平均の公表あり
登録免許税は?
登録免許税法第2条は「登録免許税は、別表第一に掲げる登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明(以下「登記等」という。)について課する。」と定めています。
別表第一の「不動産の登記」に並ぶのは、所有権の保存・移転、抵当権の設定、分筆・合筆などの登記で、建物の滅失の登記は掲げられていません。法務局の記載例にも、登録免許税の欄はありません。実際に申請するときは、税の扱いを管轄の法務局で確かめてください。
自分で申請する場合にかかるもの
| かかるもの | 金額・内容 |
|---|---|
| 登記事項証明書(建物の登記記録を確かめる場合) | 1通 書面請求600円、オンライン請求・送付520円、オンライン請求・窓口交付490円(法務省、令和7年4月1日から) |
| 郵送で申請・受け取りをする場合 | 書留郵便の料金(申請書の送付と、返信用の郵便切手) |
| 業者に出してもらう書類 | 建物滅失証明書・印鑑証明書などの発行の扱いは、業者に確かめる |
土地家屋調査士に頼む場合
土地家屋調査士は、他人の依頼を受けて「不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理」などを業とする専門家です(土地家屋調査士法第3条第1項第2号)。
報酬は自由化されていて、事務所ごとに決まります。日本土地家屋調査士会連合会が会員に行った2025年度のアンケートでは、建物滅失登記の平均報酬額は52,132円(税抜)でした。
連合会の「報酬ガイド」の前提
平均報酬額 52,132円(税抜)
- 居宅:木造かわらぶき2階建、床面積1階89.21㎡・2階46.18㎡
- 附属建物:物置1棟
- 建物取壊証明書・法人印鑑証明書は原本還付
- 事務所から現場まで約4km、登記所まで約6km
回答数の記載なし。日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士 報酬ガイド」(令和8年6月1日現在)
同じ資料は「土地家屋調査士に業務を依頼するときは、見積りだけで判断するのではなく、現地の状況や事情を説明、相談のうえ、ご依頼ください。」としています。建物の数や相続の有無などで手間が変わるため、依頼するときは事務所に見積もりを取ってください。

登記されていない家や、証明書がもらえないときは?
この章のポイント
- 登記されていない家は、滅失の登記を申請できない
- その場合は市区町村の資産税の窓口へ(確かめた3市の例)
- 証明書がないときは、法務局か土地家屋調査士に相談
登記されていない家は、市区町村の資産税の窓口へ
長崎地方法務局のチェックリストは「登記がされていない建物については、滅失の登記申請はできません。」としています(佐賀地方法務局のチェックリストにも同じ文があります)。
登記されていない家(未登記家屋)を取り壊したときについて、確かめた3市は、市の資産税の窓口への連絡や届出を案内しています(2026年10月30日確認)。
鹿児島市
取り壊した年の年末までに連絡
「取り壊した年の年末までに電話等によるご連絡が必要です。」過年度に取り壊した場合は、解体業者が出す解体証明を添えて「家屋滅失届」を出すと、さかのぼって登録を抹消するとしています(2026年4月1日更新)
千葉市
「家屋滅失届出書」を市税事務所の資産税課へ
ページに期限の記載はありません(2026年8月17日更新)
神戸市
「家屋に関する届書」を固定資産税家屋課へ(紙またはe-kobe)
ページに期限と更新日の記載はありません
届出の名前や期限は市区町村で違います。建物のあった市区町村の資産税の窓口で確かめてください。家が登記されているかわからないときは、先に管轄の法務局か土地家屋調査士に確かめてください。

建物滅失証明書がもらえないとき
法務局の記載例は、建物滅失証明書を「工事請負人から交付された場合には」添付するとしています。業者が廃業しているなどで証明書がもらえない場合の扱いは、記載例にも、長崎・佐賀地方法務局のチェックリストにも書かれていません。
なお、登記官は、表示に関する登記の申請があった場合に、必要と認めるときは不動産の表示に関する事項を調査できます(不動産登記法第29条)。証明書がない場合にどの書類を用意するかは、管轄の法務局の手続案内か、土地家屋調査士に相談してください。
建物の一部や、附属建物だけを取り壊したとき
母屋は残して物置(附属建物)だけを取り壊した場合など、登記記録の一部だけが変わる場合は、この記事で説明した手続きと同じとは限りません。登記記録を持って、管轄の法務局か土地家屋調査士に相談してください。
登記されていない家や証明書がない場合など、個別の判断が必要なときの最終的な判断は、土地家屋調査士・司法書士などに相談してください。
申請が遅れたら、どうなる?
この章のポイント
- 正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象
- 登記官が職権で登記する仕組みもある
- 災害時の職権登記も、すべての建物が対象ではない
過料の定め
不動産登記法第164条第1項は、第57条などで申請の義務がある人が、正当な理由がないのに申請を怠ったときは「十万円以下の過料」に処すると定めています。
登記官が職権で登記する仕組み
不動産登記法第28条は「表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる。」と定めています。ただし、ふだんの取り壊しでは、所有者が1か月以内に申請するのが第57条の決まりです。
大きな災害では、法務局が職権で滅失の登記をした例があります。金沢地方法務局は、令和6年能登半島地震で、市町の申出により、自然倒壊した建物、公費解体した建物、自費解体で費用の償還申請に当たる建物の滅失の登記を職権で進めると案内しています。附属建物があって一方だけを解体した場合は、職権滅失登記の対象外としています。
盛岡地方法務局は、令和7年2月26日に発生した大船渡市の林野火災について、公費解体した建物のうち、市から情報提供された建物は原則として職権で滅失の登記をする予定とし、市から情報提供がない建物は「所有者の方からの滅失登記の手続が必要です。」としています。災害で家を失った場合は、建物のある地域の法務局の案内を確かめてください。

相談先はどこ?
| 相談したいこと | 相談先 |
|---|---|
| 申請書の書き方、添付書類 | 管轄の法務局(登記手続案内) |
| 申請を代わりに頼みたい、証明書がない、附属建物だけ取り壊した | 土地家屋調査士 |
| 相続登記、相続人どうしの名義の整理 | 法務局、司法書士 |
| 登記されていない家を取り壊したときの連絡・届出 | 市区町村の資産税の窓口 |
| 建物滅失証明書・印鑑証明書の発行 | 解体工事を頼んだ業者 |
| 解体の費用や、解体前後のほかの届出 | 家の解体費用はいくら? |
土地の固定資産税が解体でどう変わるかは、空き家の固定資産税は本当に6倍?(解体して更地にすると)で解説しています。
この記事は、2026年10月30日に法令と法務局・自治体の資料で確かめた内容をもとにした一般的な説明です。登記・相続について、最終的な判断は土地家屋調査士・司法書士などに相談してください。
よくある質問
Q1. 何年も前に取り壊した家が、まだ登記記録に残っていました。どうすればいいですか?
建物がすでにない場合も、滅失の登記を申請する立場にあるのは登記記録の所有者で、亡くなっていれば相続人です(不動産登記法第57条・第30条)。
取り壊しから時間がたち、建物滅失証明書が手元にない場合の扱いは、法務局の記載例やチェックリストには書かれていません。管轄の法務局の手続案内か、土地家屋調査士に相談してください。
Q2. 滅失の登記をしたら、市区町村にも届出がいりますか?
地方税法第382条第1項は「登記所は、土地又は建物の表示に関する登記をしたときは、十日以内に、その旨その他総務省令で定める事項を当該土地又は家屋の所在地の市町村長に通知しなければならない。」と定めています。
鹿児島市は、登記された家屋は滅失の登記が終わると法務局から市に通知が届くため、「市役所での申請は必要ありません。」と案内しています。神戸市は、登記された家屋でも登記が済んでいない場合は届出を求め、「別途、不動産登記法による登記を早急に行ってください。」としています。扱いは市区町村の資産税の窓口で確かめてください。
固定資産税の賦課期日は「当該年度の初日の属する年の一月一日」です(地方税法第359条)。千葉市は「たとえ、年の途中で家屋を取り壊しても、今年度分の税は納めていただくことになります。」と案内しています。
Q3. 解体業者が、滅失の登記まで申請してくれますか?
申請するのは登記記録の所有者(亡くなっていれば相続人)です。解体業者の役割は、法務局の記載例では建物滅失証明書を出すことです。
申請を代理人に頼む場合は、委任状(代理人の権限を証する情報)を添えます(不動産登記令第7条第1項第2号)。表示に関する登記の申請手続の代理は、土地家屋調査士の業務とされています(土地家屋調査士法第3条第1項第2号)。
出典
- e-Gov法令検索「不動産登記法」(第28条・第29条・第30条・第57条・第76条の2・第164条)(確認日:2026-10-30)
- e-Gov法令検索「不動産登記令」(第7条・別表)(確認日:2026-10-30)
- e-Gov法令検索「不動産登記規則」(第37条の3・第55条)(確認日:2026-10-30)
- e-Gov法令検索「登録免許税法」(第2条・別表第一)(確認日:2026-10-30)
- e-Gov法令検索「地方税法」(第359条・第382条)(確認日:2026-10-30)
- e-Gov法令検索「土地家屋調査士法」(第3条)(確認日:2026-10-30)
- 法務局「不動産登記の申請書様式について」(2026年1月7日更新)(確認日:2026-10-30)
- 法務局「建物滅失登記申請書」記載例(PDF、R6.3.29更新)(確認日:2026-10-30)
- 法務局「建物を取り壊した(建物滅失の登記をオンライン申請したい方)」(2025年7月2日更新)(確認日:2026-10-30)
- 法務局「管轄のご案内」(2022年1月12日更新)(確認日:2026-10-30)
- 長崎地方法務局のウェブサイト掲載「不動産登記申請書提出前のチェックリスト(建物滅失)」(PDF、日付の記載なし)(確認日:2026-10-30)
- 佐賀地方法務局のウェブサイト掲載「不動産登記申請書提出前のチェックリスト(建物滅失)」(PDF、日付の記載なし)(確認日:2026-10-30)
- 大阪法務局「登記手続案内」(PDF、日付の記載なし)(確認日:2026-10-30)
- 法務省「登記手数料について」(令和7年4月1日から適用)(確認日:2026-10-30)
- 法務省「相続登記の申請義務化について」(令和8年4月1日更新)(確認日:2026-10-30)
- 金沢地方法務局「倒壊等建物の職権滅失登記のお知らせ」(PDF、日付の記載なし)(確認日:2026-10-30)
- 盛岡地方法務局「盛岡地方法務局が行う建物の滅失の登記」(PDF)(確認日:2026-10-30)
- 日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士 報酬ガイド」(令和8年6月1日現在、PDF)(確認日:2026-10-30)
- 鹿児島市「家屋を取り壊した時」(2026年4月1日更新)(確認日:2026-10-30)
- 千葉市「年の途中で家屋を取り壊した又は建て替えた場合はどうしたらよいでしょうか」(2026年8月17日更新)(確認日:2026-10-30)
- 神戸市「家屋に異動があった場合の届出」(更新日の表示なし)(確認日:2026-10-30)