※2026年10月時点の情報です。
再建築不可の家でも、売ることはできます。ただし、売り方によって手間も価格も変わります。最初に確かめるのは、「本当に再建築不可なのか」と「接道の条件を満たせる見込みがあるか」の2点です。
この記事では、建築基準法の条文(e-Gov法令検索)、国土交通省の資料、自治体の公式ページをもとに、調べ方と売り方を整理します。
結論:再建築不可の家を売るとき、何から確かめればいい?
この記事で確かめたことは、次のとおりです。
- 主な理由:敷地が建築基準法上の道路(原則として幅員4m以上。地域によって6m。4m未満でも特定行政庁が指定した道は道路とみなされる)に2m以上接していない(建築基準法第42条・第43条)
- 調べる場所:物件のある市区町村(または都道府県)の建築指導課などの窓口と、指定道路図。横浜市・福岡市は、道路の種別について電話での問い合わせを受け付けていません
- リフォーム:2025年4月以降に着手する木造2階建てなどの大規模なリフォームは、建築確認が必要になりました。接道の既存不適格の家は、特定行政庁の認定を受ければ、既存不適格のまま大規模の修繕・模様替ができます(建築基準法施行令第137条の12第11項)
- 売り方:①隣地の所有者に売る ②隣地の一部を買うなどして接道を満たしてから売る ③43条2項の認定・許可を使う ④買取業者に売る
- 価格:価格の水準を示す国や業界団体の統計は、今回の調査では見つかりませんでした。物件ごとの査定で判断します
接道を満たせる見込みがあれば条件を整えてから一般の買主へ、見込みが薄ければ隣地の所有者や買取業者へ、という順で考えると整理しやすくなります。
この記事の目次
「再建築不可」とは、どんな状態?
この章のポイント
- 敷地が「道路」に2m以上接していないと、原則として建て替えられない
- 道路は原則として幅員4m以上。4m未満でも指定された「2項道路」は道路とみなされる
- 2項道路に接する敷地は、建て替えのときにセットバックが必要
敷地が「道路」に2m以上接していないと、建て替えができません
建築基準法第43条第1項は、建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならないと定めています(接道義務)。この条件を満たさない敷地では、原則として建物を新しく建てられません。今ある家を取り壊すと同じ場所に建て直せない状態が、一般に「再建築不可」と呼ばれています。
ここでいう道路は建築基準法上の道路で、原則として幅員4m以上(4m未満でも特定行政庁が指定した道は道路とみなされる)です(第42条)。再建築不可になりやすいのは、次のような敷地です。
- 道に接していない(周りを他人の土地に囲まれている)
- 道に接しているが、接している長さが2m未満(旗竿地の通路部分が細い、など)
- 接している道が、建築基準法上の道路に当たらない
3つ目は見落としやすい点です。横浜市は、登記上は公衆用道路や公道であっても、建築基準法の道路に該当しないものもあると注意を呼びかけています。
なお、第43条第3項により、自治体は条例で接道の条件を上乗せできます。対象は、特殊建築物、階数が3以上の建物、延べ面積が1,000㎡を超える建物などです。物件のある自治体の条例もあわせて確かめます。

建築基準法上の「道路」の種類
第42条第1項は、幅員4m以上(特定行政庁が指定する区域では6m以上)の次の道を「道路」としています。
第1号:道路法による道路
国道・都道府県道・市町村道など
第2号:都市計画法・土地区画整理法などによる道路
開発道路など
第3号:既存道路
この章(道路・接道などの規定)が適用されるようになった時点で、すでにあった道
第4号:計画道路
道路法・都市計画法などによる新設・変更の事業計画があり、2年以内に事業が行われる予定として特定行政庁が指定した道
第5号:位置指定道路
上の法律によらずに、政令の基準に合う道を造る人が、特定行政庁から位置の指定を受けた道
幅4m未満でも「2項道路」なら道路です。建て替えにはセットバックが必要
第42条第2項は、この章の規定が適用されるようになった時点で建物が立ち並んでいた幅員4m未満の道で、特定行政庁が指定したものを道路とみなします。いわゆる「2項道路」です。2項道路に接する敷地では、次の線が道路の境界線とみなされます。
通常
道の中心線から水平距離2mの線
幅員6m以上の区域として指定された区域内では3m(特定行政庁が避難・通行の安全上支障がないと認める場合は2m)
片側が崖地・川・線路敷地などに沿っている
崖地などの側の境界線から、道の側へ水平距離4mの線
建て替えるときは、この線まで敷地を後退させます(セットバック)。後退した部分は道路として扱われるため、建物や塀は建てられません。セットバック後に残る面積によって、建てられる家の大きさが変わります。

2項道路は道路なので、2項道路に2m以上接していれば、原則として再建築不可ではありません。「幅が狭い道だから再建築不可」とは限らないため、まず道の種別を確かめます。
道路の種別や接道の判断は、物件ごとに違います。最終的な判断は、自治体の窓口で確かめたうえで、建築士・宅地建物取引士などに相談してください。
自分の家が再建築不可かどうかは、どう調べる?
この章のポイント
- 確認先は、物件のある市区町村(または都道府県)の建築指導課など
- 横浜市・福岡市は、道路の種別について電話での問い合わせを受け付けていない
- 道路台帳(公道かどうか)と指定道路図(建築基準法上の道路か)は別のもの
窓口で「建築基準法上の道路の種別」を確かめます
確認する先は、物件のある市区町村(または都道府県)の建築指導課などの部署です。部署名は自治体によって違います。公式ページで確かめた3市の案内を例に挙げます(2026年10月27日確認)。
横浜市
指定道路図を、行政地図提供システム「i-マッピー」でインターネットから閲覧・印刷できる
- 道路の相談は建築指導課。来庁またはインターネットで相談する
- 間違いが生じた場合の影響が大きいため、電話での問い合わせは受け付けていない
- 道路法にもとづく「認定路線図」「道路台帳区域線図」は、道路調査課または各区の土木事務所で閲覧できる
福岡市
建築指導課道路判定係の窓口(市役所4階)で受け付け。原則として来庁
- 取り違い等による影響が大きいため、電話での問い合わせは受け付けていない
- 福岡市Webマップで、道路の種別の一部(法第42条第1項第1号の道路と、私道を除く2項道路)を確認できる
京都市
市の案内ページでは、「京都市地図情報提供サービス」の「指定道路図(接道許可)」から、道路の種別や位置指定道路図、接道許可の情報を地図上で確認できる
- 担当は都市計画局建築指導部建築指導課
電話では答えない自治体があるため、来庁を前提に準備しておくと進めやすくなります。
窓口に持っていくもの(福岡市の例)
福岡市の案内では、窓口に次の2点を持参するよう求めています。
- 相談場所が分かる地図(ゼンリン等)
- 道路台帳平面図(測定基図。道路下水道局路政課で取得)
そのほか、法務局の公図(字図)、土地の登記簿謄本(登記事項証明書)、地積測量図、写真などがあれば、合わせて持参するよう案内しています。ほかの自治体では、必要な資料を窓口で確かめてください。
福岡市では、まだ判定されていない道や、状況が変わった道について、「道路相談カード」の提出も求めています。
道路台帳と指定道路図は、見ているものが違います
道路台帳は、道路法にもとづく公道の資料です。福岡市は、幅員4m未満の道路法の道路は、建築基準法第42条第1項の道路に当たらないとしています(2項道路に指定されていれば、道路とみなされます)。また、人や車が通れない法敷の部分を除いた有効な幅員で判断するため、道路台帳平面図の幅員とは異なる場合があるとしています。
「公道だから大丈夫」とは限りません。道路台帳と指定道路図の両方を確かめます。

親の家が遠方にあるときは
窓口での確認に来庁が必要な自治体もあるため、遠方なら、不動産会社や建築士に調査を頼む方法もあります。確かめた内容を書面で残してもらうと、きょうだいへの説明にも使えます。
調べた結果の読み方や、接道を満たせるかどうかの最終的な判断は、建築士・宅地建物取引士などに相談してください。
2025年4月の法改正で、リフォームはどう変わった?
この章のポイント
- 2025年4月以降に着手する木造2階建てなどの大規模なリフォームは、建築確認が必要
- 水回りのリフォームや、屋根・外壁の仕上げ材だけの改修は対象外とされる
- 接道の既存不適格の家は、特定行政庁の認定で大規模の修繕・模様替ができる
木造2階建ての大規模なリフォームに、建築確認が必要になりました
2022年6月に公布された改正法(令和4年法律第69号)により、建築確認の対象が見直されました(いわゆる4号特例の見直し)。建築基準法第6条第1項の区分は、現在次のとおりです。
第1号
一定の用途の特殊建築物で、その用途の床面積が200㎡を超えるもの
大規模の修繕・模様替:建築確認が必要
第2号
第1号以外で、階数が2以上、または延べ面積が200㎡を超える建物
大規模の修繕・模様替:建築確認が必要
第3号
第1号・第2号以外で、都市計画区域などの中にある建物(平屋で延べ面積200㎡以下)
大規模の修繕・模様替:建築確認は不要(新築するときは必要)
国土交通省の資料(建築基準法改正 建築確認、2025年3月版)は、「二階建ての木造戸建等で行われる大規模なリフォームで、2025年4月以降に工事に着手するものは、事前に建築確認手続きが必要となります」と説明しています(注記の記号は省略)。改正前は、木造2階建ての住宅などは旧4号建築物に当たり、大規模なリフォームでも建築確認は不要でした。
「大規模の修繕・模様替」に当たる工事、当たらない工事
国土交通省の資料では、大規模なリフォームとは、建築物の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)の一種以上について行う過半の改修等を指すとしています。
対象になる例(国土交通省の資料)
階段の架け替え、屋根の全面的な改修
大規模の修繕・模様替に当たらないとされる改修(国土交通省の技術的助言)
屋根ふき材のみの改修、既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせる改修(カバー工法)、外壁の外装材のみの改修、外壁の内側からの断熱改修、既存の外壁に新しい仕上材をかぶせる改修
外装材のみの改修でも、外壁の全てを改修することに当たる場合は除かれます(令和6年2月8日付け国住指第355号)
建築確認の手続きが不要とされる例(国土交通省の資料)
キッチン・トイレ・浴室などの水回りのリフォーム、バリアフリーのための手すりやスロープの設置
工事の内容によっては大規模なリフォームに当たる場合があるとして、相談をすすめています
国土交通省の資料は、延べ面積が100㎡を超える建物で大規模なリフォームをする場合、建築士による設計・工事監理が必要としています(都道府県が別の面積の基準を定めている場合がある、との注記があります)。
接道の既存不適格の家は、特定行政庁の認定で大規模なリフォームができます
建築確認が必要になると、「接道を満たさない家では確認が下りないのでは」という疑問が出てきます。この点には、既存不適格の建物向けの緩和措置があります(建築基準法第86条の7第1項、建築基準法施行令第137条の12第11項)。
施行令第137条の12第11項は、接道義務(法第43条第1項)の適用を受けない既存不適格の建物について、次の両方を満たす大規模の修繕・模様替であれば、既存不適格のまま工事できるとしています。
- 用途の変更(変更後に利用者の増加が見込まれないものを除く)を伴わないこと
- 特定行政庁が、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めること
この緩和は2022年の建築基準法改正にもとづくもので、愛知県の認定基準は「令和6年4月1日から施行する」としています。自治体の資料には、改正前の項番号(第137条の12第6項)で書かれているものもあります。
認定の申請に必要な書類は、特定行政庁ごとに定められます。たとえば吹田市が示した施行細則の改正の骨子案では、測量図や現況図、敷地・空地・通路の登記事項証明書、空地・通路の利用に関する契約書・協定書の写しなどを添付するとしていました。事前に窓口に相談してください。
ここに注意
この緩和の対象は既存不適格、つまり建てた当時は適法で、のちの法改正や区域の指定などで基準に合わなくなった建物です。愛知県の認定基準も、法第3条第2項の適用により法第43条第1項の規定の適用を受けない建築物を対象としています。
確認済証や検査済証が見つからない場合は、建築士などに相談してください。

売却への影響
買主が購入後に大規模なリフォームをする場合、建築確認や認定の手続きが必要になることがあります。次の情報をそろえておくと、買主や不動産会社が判断しやすくなります。
- 建物の階数と延べ面積(第2号に当たるか、第3号に当たるか)
- 確認済証・検査済証の有無
- 過去のリフォームの記録(いつ、どこを、どこまで直したか)
- 窓口で確かめた道路の種別と、確かめた日
リフォームに建築確認や認定が必要かどうかの最終的な判断は、建築士・指定確認検査機関、特定行政庁の窓口に相談してください。
再建築不可の家には、どんな売り方がある?
この章のポイント
- 隣地と一体になれば、接道の問題がなくなる
- 43条2項の認定・許可は個別の審査で、受けられるとは限らない
- 買取は、価格が仲介より低くなりやすい
4つの売り方の比較
①隣地の所有者に売る
向いている例:隣地が道路に接していて、隣地の所有者に敷地を広げたい事情がある
- 長所:隣地と一体になれば、接道の問題がなくなる
- 注意:隣地の所有者に買う意思がなければ成立しない。価格は個別の交渉
②隣地の一部を買うなどして接道を満たしてから売る
向いている例:隣地の一部(通路分)を譲ってもらえる見込みがある
- 長所:接道を満たせば、一般の買主に売れる可能性が広がる
- 注意:測量・分筆・登記の費用と時間がかかる
③43条2項の認定・許可を使う
向いている例:一定の基準に合う道・通路に接している、敷地の周りに広い空地がある
- 長所:認定・許可を受ければ建築できる
- 注意:個別の審査で、受けられるとは限らない
④買取業者に売る
向いている例:早く手放したい、遠方で管理が難しい、隣地との交渉が難しい
- 長所:買主を探す期間がかからない
- 注意:価格は仲介より低くなりやすい。複数社の条件を比べる

①隣地の所有者に売る
接道を満たしている隣地と一体になれば、再建築不可の問題は解消されます。そのため、隣地の所有者は買い手の候補になります。直接話しにくければ不動産会社に仲介を頼み、価格の根拠として査定書を用意しておきます。測量や境界確認の費用をどちらが負担するかも、先に決めておくと話が進めやすくなります。
②隣地の一部を買うなどして接道を満たす
隣地の一部を通路として買い取り、道路に2m以上接する形にできれば、再建築不可を解消できる可能性があります。この場合は隣地の分筆と所有権移転の登記が必要になるため、土地家屋調査士・司法書士に相談しながら進めます。
隣地の一部を借りる形で接道を満たせるか、どのような契約が必要かについては、今回確かめた範囲では一律の取扱いが見つかりませんでした。借りる形を考える場合は、特定行政庁の窓口で事前に確かめてください。
なお、民法第210条の「公道に至るための他の土地の通行権」(いわゆる囲繞地通行権)は、他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者が、周りの土地を通行できる権利です。通行できることと、建築基準法の接道義務を満たすことは、別の制度です。
③43条2項の認定・許可(旧43条ただし書)を使う
接道義務には、第43条第2項に例外があります。2018年の改正(千葉市の案内では平成30年9月25日付)で第2項第1号の認定が新しく設けられ、それまでの「ただし書」の許可は第2項第2号の許可になりました。
第1号:認定(建築審査会の同意は不要)
幅員4m以上の道(農道など、または政令の基準に合う道)に2m以上接する建物のうち、利用者が少数で用途・規模が省令の基準に合い、特定行政庁が支障がないと認めるもの
建築基準法施行規則第10条の3では、延べ面積500㎡以内。接する道が政令の基準に合う道の場合、用途は一戸建ての住宅・長屋などに限られる
第2号:許可(建築審査会の同意が必要)
敷地の周りに広い空地があるなど省令の基準に合う建物で、特定行政庁が支障がないと認め、建築審査会の同意を得て許可したもの
施行規則第10条の3第4項の基準:周りに公園・緑地・広場などの広い空地がある/幅員4m以上の農道などに2m以上接する/道路に通じる十分な幅員の通路に有効に接する
許可については、東京都は「一括許可同意基準」に合う計画なら、建築審査会に出す図書が個別の審査より軽くなるとしています。千葉市も、市と建築審査会があらかじめ包括的に同意する基準を定めています。
千葉市は、許可・認定を受けようとする際には必ず事前に担当職員と相談するよう案内しています。千葉市の申請様式には、通行承諾書なども含まれています。
京都市は「接道許可等の実績がある通路」を地図で公開しています
京都市は2024年12月20日の報道発表で、「袋路等の『路地』でも『再建築不可』とは限りません」として、建築基準法第43条第2項の許可・認定の実績がある通路を「京都市指定道路図提供システム」で公開しました(公開は2024年12月25日)。対象は平成17年9月15日以降に許可等の実績がある通路で、地図上に紫色の線で表示されます。路地奥の住宅の更新や流通を進めるのがねらいとされています。
許可・認定は個別の審査のため、実績のある通路に接していても、受けられると決まるわけではありません。見込みを判断する材料として窓口で確かめ、ほかの自治体でも同じような情報がないか聞いてみてください。
認定・許可を受けられるかどうかの最終的な判断は、特定行政庁の窓口と建築士に、隣地の購入や登記は土地家屋調査士・司法書士に相談してください。

④買取業者に売る
再建築不可の物件を扱う買取業者もあります。買取は、価格が仲介より低くなりやすい売り方です。東急リバブルの解説(2025年9月26日更新)は、不動産会社がリフォーム費用や再販売するまでのリスク、自社の利益などを考えて買取価格を出すことを主な理由に挙げています(再建築不可に限らない、買取全般についての説明です)。
買取価格の目安の読み方や、業者の免許・処分歴の調べ方は、空き家買取の仕組みと業者の選び方で整理しています。再建築不可の物件で複数社を比べるときは、次の点も確かめます。
価格の根拠
どの要素で減額しているか(接道、建物の状態、残置物など)を説明してもらう
残置物
家財が残ったままで引き取るか、撤去費用を差し引くか
契約不適合責任
売主の責任を免除する特約があるか、範囲はどこまでか
引き渡しまでの期間
決済日と、それまでの管理をどちらが行うか
測量・境界
確定測量を売主が負担するかどうか
売り方の選び方や契約条件の最終的な判断は、宅地建物取引士のいる不動産会社や弁護士などに相談してください。
再建築不可の家は、なぜ価格が下がりやすい?
この章のポイント
- 建て替えができない、住宅ローンの条件に合いにくいなどの事情がある
- 価格の水準を示す国や業界団体の統計は見つからなかった
- 相続税の無道路地の評価は、売れる価格を示すものではない
価格に影響する主な事情
全日本不動産協会のコラム(2026年6月9日公開)は、再建築不可物件は新築用地としての利用価値が限られるため、一般の物件に比べて割安な価格で取引されるとしています。価格に影響する事情として、次のようなものがあります。
建て替えができない
建築基準法第43条第1項。家が古くなっても、原則として新しく建て替えられない
大規模なリフォームに手続きがかかる
2025年4月以降、2階建てなどの大規模の修繕・模様替は建築確認が必要。接道の既存不適格の家は、特定行政庁の認定が条件
住宅ローンの条件
住宅金融支援機構のフラット35は、技術基準で「原則として一般の道に2m以上接すること」としている
ほかの住宅ローンの扱いは、金融機関に確かめる
相場はどう考えればいい?
再建築不可物件の価格の水準について、国や業界団体が公表している統計は、今回の調査では見つかりませんでした。全日本不動産協会の上記のコラムは割合の目安も挙げていますが、根拠となる調査は示されていないため、この記事では割合の目安は示しません。
参考になるのは、相続税の財産評価の考え方です。国税庁のタックスアンサー「No.4620 無道路地の評価」(令和8年4月1日現在法令等)は、接道義務を満たしていない宅地も無道路地に含め、接道義務にもとづいて最小限の通路を開設する場合の、その通路に相当する部分の金額を差し引くとしています。差し引く額は「その価額の40パーセントの範囲内において相当と認める金額」です。
ただし、これは相続税などを計算するための評価方法で、実際に売れる価格を示すものではありません。実際の価格は、次の要素で変わります。査定を受けるときは、それぞれをどう評価したかを不動産会社に確かめます。
- 接道を満たせる見込み(隣地の状況、43条2項の認定・許可の実績)
- 2項道路に接している場合は、セットバック後に残る面積
- 建物がそのまま住める状態か、修繕が必要か
- 駅からの距離など、立地の条件
- 残置物の量と撤去の要否
査定額の妥当性や売り出し価格の最終的な判断は、宅地建物取引士のいる不動産会社や不動産鑑定士などに相談してください。
相続した実家が再建築不可だったら、何から考える?
この章のポイント
- 売る前に相続登記を済ませる
- 取り壊すかどうかは、売り方を決めてから判断する
- 相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地では申請できない
進める順番
次の順で整理すると、きょうだいとも話し合いやすくなります。
- 相続登記を済ませる名義が亡くなった親のままでは売れません。手順と期限は相続した実家を売る流れと税金で整理しています。
- 道路の種別を確かめる窓口で道路の種別を確かめ、再建築不可の理由を特定します(この記事の「調べ方」)。
- 売り方の可能性を確かめる隣地への売却、43条2項の認定・許可、買取の順に可能性を確かめます(この記事の「売り方」)。
- 売れない場合の手放し方を考える相続土地国庫帰属制度などを検討します(下記)。
取り壊す前に確かめたいこと
再建築不可の敷地では、建物を取り壊すと、原則として新しい建物を建てられません。また、住宅が建っている土地の固定資産税を軽くする住宅用地の特例(地方税法第349条の3の2)は、取り壊して住宅の敷地でなくなると対象から外れ、土地の固定資産税が上がる場合があります。取り壊すかどうかは、売り方を決めてから判断するほうが安全です。
解体費用の目安、市の解体補助、解体後の固定資産税の扱いは、空き家の解体費用と補助金で整理しています。解体の補助には、相模原市のように、接道の要件を満たさず特定行政庁の許可も得ていない敷地の空き家を、対象に含めるものもあります。
相続土地国庫帰属制度を使うときの注意点
相続した土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」もあります。ただし、相続土地国庫帰属法第2条第3項第1号により、「建物の存する土地」は承認申請ができません。使う場合は建物の取り壊しが前提になり、そのうえでほかの要件も満たす必要があります。要件や負担金は相続土地国庫帰属制度の使い方で解説しています。
相続登記は司法書士、税金は税理士、建物や接道は建築士、売却は宅地建物取引士のいる不動産会社が相談先です。最終的な判断は、これらの専門家に相談してください。
相談先はどこ?
道路の種別、43条2項の認定・許可、大規模の修繕・模様替の認定
市区町村(または都道府県)の建築指導課などの窓口
既存不適格かどうか、リフォームに建築確認が必要か
建築士、指定確認検査機関
測量・分筆・境界
土地家屋調査士
相続登記、隣地の購入の登記
司法書士、法務局
売却価格、隣地との交渉、買取
宅地建物取引士のいる不動産会社
売ったときの税金(譲渡所得)
税理士、税務署
窓口で確かめた内容は、日付とあわせて記録しておきます。最終的な判断は、建築士・宅地建物取引士・司法書士などに相談してください。
よくある質問
Q1. 再建築不可の家が火事や地震でなくなったら、建て直せますか?
建物がなくなったあとに新しく建てる場合は、接道義務(建築基準法第43条第1項)を満たす必要があります。満たしていなければ、原則として建て直せません。43条2項の認定・許可を受けられる可能性はあるため、自治体の窓口に相談してください。
火災保険の補償内容も、あわせて確かめておきます。
Q2. 再建築不可の家に住み続けることはできますか?
接道を満たさないことだけを理由に、今ある家に住めなくなるわけではありません。ただし、2階建てなどで大規模な修繕・模様替をするときは建築確認が必要になり、接道の既存不適格の家では特定行政庁の認定が条件になります。
Q3. 再建築不可であることを伏せて売ることはできますか?
不動産会社の仲介で売る場合、建築基準法などの法令にもとづく制限は、宅地建物取引業法第35条の重要事項説明の対象です。宅地建物取引士が、契約が成立するまでに買主へ書面で説明します。伏せて売ることは前提にせず、調べた内容を不動産会社に伝えてください。
Q4. 私道に面している家は、すべて再建築不可ですか?
いいえ。位置指定道路(第42条第1項第5号)や2項道路に当たる私道もあり、その場合は建築基準法上の道路として扱われます。登記上の地目や公道・私道の別では判断できないため、窓口で道路の種別を確かめてください。
個別の物件の判断は、建築士・宅地建物取引士・司法書士などに相談してください。
出典
- e-Gov法令検索「建築基準法」(第6条・第42条・第43条・第86条の7)(確認日:2026-10-27)
- e-Gov法令検索「建築基準法施行令」(第137条の12)(確認日:2026-10-27)
- e-Gov法令検索「建築基準法施行規則」(第10条の3)(確認日:2026-10-27)
- e-Gov法令検索「民法」(第210条)(確認日:2026-10-27)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第35条)(確認日:2026-10-27)
- e-Gov法令検索「地方税法」(第349条の3の2)(確認日:2026-10-27)
- e-Gov法令検索「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(第2条)(確認日:2026-10-27)
- 国土交通省「建築基準法改正 建築確認」(2025年3月版、PDF)(確認日:2026-10-27)
- 国土交通省「屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」(令和6年2月8日付け国住指第355号、PDF)(確認日:2026-10-27)
- 国土交通省「大規模の修繕・模様替を行う既存不適格建築物への緩和措置」(PDF)(確認日:2026-10-27)
- 国土交通省「既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化」(確認日:2026-10-27)
- 愛知県「建築基準法施行令第137条の12第6項の規定に基づく認定基準」(PDF)(確認日:2026-10-27)
- 吹田市「吹田市建築基準法施行細則の一部改正の骨子案」(PDF)(確認日:2026-10-27)
- 横浜市「建築基準法の道路について」(2025年7月15日更新)(確認日:2026-10-27)
- 福岡市「建築基準法上の道路について」(2025年5月29日更新)(確認日:2026-10-27)
- 京都市「京都市指定道路図のご案内」(2026年3月18日)(確認日:2026-10-27)
- 京都市「接道許可等の実績がある通路情報を公開~袋路等の「路地」でも「再建築不可」とは限りません~」(令和6年12月20日 報道発表、PDF)(確認日:2026-10-27)
- 東京都都市整備局「第43条第2項に基づく認定・許可の取扱い」(2023年12月13日更新)(確認日:2026-10-27)
- 千葉市「法43条2項2号(旧法43条1項ただし書)許可、法43条2項1号認定について」(2024年7月12日更新)(確認日:2026-10-27)
- 相模原市「危険な老朽空き家等除却費補助金について(空き家解体費補助)」(2026年6月10日更新)(確認日:2026-10-27)
- 国税庁「No.4620 無道路地の評価」(令和8年4月1日現在法令等)(確認日:2026-10-27)
- 住宅金融支援機構「対象となる住宅・技術基準」(フラット35)(確認日:2026-10-27)
- 東急リバブル「不動産の仲介と買取の違いとは? メリット・デメリットを比較」(2025年9月26日更新)(確認日:2026-10-27)
- 全日本不動産協会「再建築不可物件|特徴と価値を掘り起こす方法」(全日ラビー不動産コラム、2026年6月9日公開)(確認日:2026-10-27)
